投刃と少女
とあるβテスター、戦慄する
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二人で太刀打ちできる相手ではなく。普通はレイドPT───複数のパーティ(最大48人)による討伐隊を組み、スイッチによる連携攻撃を駆使して倒す……というのがセオリーだ。
でも。ボス攻略はただ人数が多ければいいというものではない。
例え48人を集めてフルレイドPTを組んだところで、ボスの攻撃パターンや使用するソードスキルの躱し方が頭に入っていなければ、最悪の場合は全滅なんてこともありえるからだ。
このように、ボス攻略には大変な危険が伴う。
しかも僕たちが現実世界に戻るためには、その危険なボス戦を100回も繰り返さなければならない……。
「……シェイリは、これからどうする?」
「どうって?」
僕が問いかけると、シェイリは何の話だとばかりに首を傾げた。
その反応は無理もない。今現在ほとんどのプレイヤーは、自分の身に何が起こったのか理解が追いつかない状態だろう。
あるいは、まだこれが悪い冗談……もしくは夢か幻か、そう思う人もいるかもしれない。
だけど。多分あれは……嘘じゃない。
もちろん本人と面識があるわけじゃないし、テレビや雑誌といったメディアで見る機会しかなかったけど……
それでも、これだけは言える。茅場明彦という天才科学者は、こんな質の悪い冗談を言うタイプじゃない。
「あの人の言ってたことが嘘か本当かはわからないけど、多分本当だと思う。だから、僕たちは強くならなくちゃいけない」
「強く……?」
「うん。シェイリもわかると思うけど、MMORPGでいつまでも低レベルのままでいるのは危険だからね」
攻略が進めば上の層も順次解放されていくだろう。当然、敵モンスターも上の層に行けば行くほど強くなってくる。
いつまでも『はじまりの街』に閉じ篭もるならともかく、行動の幅を広げるためにはレベルを上げて、強くなる必要が出てくる。
それ以外にも、PK───プレイヤーキルと呼ばれる、あえてプレイヤーを攻撃して楽しむプレイスタイル───の相手がいないとも限らない。
さすがにここで死ねば現実世界でも死ぬという現状で、PKなんて馬鹿げたことをするプレイヤーがいるとは思いたくないけど……。万が一そんな相手と遭遇した時に身を守るためには、レベリングによる強化が必要不可欠だ。
「でも、普段のレベル上げだって死ぬ可能性がゼロなわけじゃない。本当に現実世界でも死ぬなら、雑魚モンスターと戦うのだって気が抜けない。だから……」
安全策でいくなら、『はじまりの街』に留まるというのも手だ。
安全圏内の街中にさえいれば、モンスターと戦う必要も、PKに怯える必要もない。
必要以上に戦うことなく、安全圏に留まり続ければ───いつか、誰かがゲームをクリアしてくれるかもしれない。それが何ヵ月、もしくは何年先だとしても、だ。
「安全のことだけを考え
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