第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
すぐに逃げようとする、だが神父はその彼等を笑顔で呼び止めたのだった。
「お待ち下さい、怒ったりはしません」
「えっ、怒らないんですか!?」
「嘘ですよね」
「神に仕える者は嘘を言うことはありません」
微笑んで言った言葉だった。
「決して」
「訴えるとかしないんですか?」
「それもしません」
子供達のうちの一人にも答える。
「約束します」
「じゃあ」
子供達は神父の保障を受けてだった。
そのうえで逃げようとするのを止めてそのうえで、である。
神父達に顔を向けてそして言った。
「まさかと思いますけれど」
「マリア様のことを」
「ああしたことをしてはいけません」
神父は確かな声で子供達に言う。
「理由はわかりますね」
「はい、マリア様だからですよね」
「イエス様のお母さんだから」
「他の宗教の神様や仏様でも同じです」
親父はこのことも言い加える。
「悪いこと、失礼なことをしてはいけませんよ」
「すいません、二度としません」
「本当に」
「これからはしないで下さいね」
穏やかでしかも怒っていないからこそ余計に効果のある言葉だった。真相はわかり子供達も反省した、こうして事件は終わった。
子供達は自分達の手でマリア像の目から流れる様に塗った赤い絵の具を拭き取り綺麗にした。そうして綺麗になったからシスターは神父に言った。
「お見事でした、全てはわかり事件も解決しましたね」
「まあ悪戯のことは誰がしたかは秘密にしまして」
親父は子供達が反省して悪戯のことを反省したのを見てそれでよしとしていた、だからこのことはこれで終わったのだ。
「この教会は子供達も多く出入りしていますので」
「それであの子達がしたこととおわかりになられたのですね」
「それとマリア様の赤い涙です」
騒動のそれを見てもだというのだ。
「あれが本当に血ならば匂いがあった筈ですから」
「匂い、そういえば」
「はい、私は最初にあの血の匂いを嗅いでそれでわかりました」
「血にも匂いがありますからね」
シスターもわかった、血には独特の所謂血生臭い匂いがある。だがそのマリア像の血にはだったのだ。
「それがなかったのですか」
「絵の具の匂いでした、水性の」
「水性となると」
「水性絵の具は小学生がよく使うので」
若しくは中学生だ。とにかく子供が使うものだ。
それでだったのだ。
「あの教会に出入りしていたあの子達とわかったのです」
「匂いでそこまで、ですか」
「あれが本当に血の匂いなら本当にまずいと思いましたが」
実際の怪奇であるからだ、その場合は。
「ですが血の匂いがしませんでした」
「そえでおわかりになられましたか」
「はい、目だけではありません」
物事を解決するのに役立つも
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ