第一章
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血を流すマリア像
長崎市のある教会での事件である。 この教会は大人だけでなく子供もよく出入りしている。近所の小学生はよく遊び場にしていてよく過ぎた悪戯もするが教会の神父もシスターも極めて優しい人なので笑顔で何も言わない。
こうした神父とシスターだから長崎の人達にも慕われている、そうした教会で事件が起こったというと誰もが意外に思うことだが実際に起こってしまったのだ。
日曜のミサの時に人々が集まると礼拝堂のマリア像の目が普段とは違っていた、何とだ。
その両目から血を流していたのだ、人々はそのマリア像を見て蒼白になり言った。
「まさか、噂の」
「マリア様が血の何打を流されるのは悲しみを感じている証拠」
「この世の終わりを悲しんでいるといいますね」
「ではまさかもう」
「予言にある様な」
「いえ、皆さん落ち着いて下さい」
信者の人達は驚いていた、だがだった。
教会の神父は落ち着いている、それは鼻で匂いを嗅いだ後だったが誰も神父のこの行動には気づかなかった。それで信者の人達に言ったのである。
「このマリア像の瞳の涙は何でもありません」
「ですが血の涙ですよ」
「それもブロンズ像がです」
「これが何でもないとは思えませんが」
「ですからこれは」
「いえ、落ち着いて下さい」
また言う神父だった。
「すぐにこの涙のことを調べますので。いえ」
「いえ?」
「いえといいますと」
「これは間違いなく血の涙などではありません」
信者の人達の驚きと不安を否定したのだ、最初に。
「しかしこれが一体何か、すぐに調べますので今日はこれで帰って下さい」
「はい、わかりました」
「それでは」
ミサは中止になり人々は帰った、神父は助手であるシスターと二人になった、そのうえでだった。
マリア像のところに来てそしてその目を調べる、そのうえでシスターに対してこう述べた。
「これが何かも、そして犯人もわかりました」
「犯人までもですか」
「はい、全てわかりました」
そうなったというのだ。
「何もかもが」
「一目でとは」
「ではまずは小学校に行きましょう」
神父は微笑んでシスターに話した。
「そしてそこで犯人と対しましょう」
「小学校というとまさか」
シスターもここである程度だがわかった、犯人と事件の真相が。
そのうえでさらに言おうとするが神父はそのシスターに対して片目を瞑ってみせて今はこう言ったのだった。
「いえ、今はそれ以上は」
「お話しないというのですね」
「はい」
そうだというのだ。
「ですから仰るのは暫くお待ち下さい」
「わかりました、それでは」
「神の御教えにしてもお話するべき時があります」
そして話すべきではない時もあるという
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