第十話「剣精霊は銀髪少女」
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霊だ」
「なんだと?」
エリスが訝しげにエストを見下ろす。
「この少女が、あの魔精霊を一撃で斬り裂いた剣の精霊だと?」
しばらく、じーっと見つめていたエリスだったが、やがて視線を切ると俺に向き直った。
「下手な嘘は止めるんだな。こんな娘が精霊なわけがないだろう」
再び剣の切っ先を向けてくるエリス。刹那、エリスの目が驚愕で見開かれた。
首筋に突き立てた剣が飴細工のようにぐにゃぐにゃに折れ曲がっていたのだ。
「なんだ、これは!?」
「属性共鳴――剣精霊である私はあらゆる刀剣類に自在に干渉することが出来ます。これで信じて頂けましたか?」
「属性共鳴だと……?」
エリスが目を丸くして自分の折れ曲がった剣を見つめた。
俺も意外な目で傍らに無表情で立つエストを見た。精霊魔術で似たような現象を引き起こすことは可能だが、それをエストは指先一つで成してみせたのだ。さすがは剣精霊と言ったところか。
得心がいったように一つ頷いたエリスは剣を収め、頭を下げた。
「なるほど……疑ってすまなかった」
「なに、気にするな。一目見て精霊だと看破しろというのが無理な話だ」
丁度いい高さにあるエストの頭をポンポン叩きながらそう言う。エストは不思議そうな顔で小首を傾げた。
少し堅物すぎるきらいがあるが、こういった素直な性格は好感が持てるな。
「その、すまなかったな……」
「ん?」
頬を赤く染めたエリスは俺の目を真っ直ぐ見つめながら言葉を続けた。
「私は君が男というだけで君を嫌っていた。そのことを謝らなければならない」
再びすまなかったと頭を下げるエリス。
「クレア・ルージュを救うために魔精霊に立ち向かっていった君の姿は、その……とても格好良かったよ」
そう言ってエリスは微笑む。それを見た途端、顔が赤くなっていくのを自覚した。気恥ずかしさもさることながら、女性にそんなことを言われたのは随分久しいことだった。
そっぽを向き、熱を帯びた顔を手で仰いでいると、服の裾をくいっと小さく引っ張られた。
見ると、エストがいかにも不満ですと言いたげに頬を膨らませていた。
「リシャルト、私はのけものにされて不機嫌です」
「ああ、すまんな……」
ふとここに来た、目的を思い出した。
「ああ、そうだ。クレアの場所を知らないか?」
「クレア・ルージュなら部屋に引きこもっているのではないか? 契約精霊を失ったのが相当ショックだったようだからな」
まあ、
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