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失われし記憶、追憶の日々【精霊使いの剣舞編】
第十話「剣精霊は銀髪少女」
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霊がなぜ、俺と契約を?」


 またなのか? またカミトポジションなのか?


 エストはくいっ、と俺の袖を掴み上目で見上げてきた。


「リシャルト、私はリシャルトに好意を抱いています」


「好意?」


「好きだということです」


「それはありがたいが、なぜ? 俺と君に接点はなかったはずだが」


 エストは透明な紫紺の瞳で俺を見つめた。


「何故かは正直、私にも分かりません。ただ、あなたと私は似ているのだと思います」


「――似ている、ね。まあ、追々分かることか……」


 何が似ているのかは知らないが、俺でも感じない何かをエストは感じたのだろう。気にならないと言ったら嘘になるが答えを急くような話でもないし、いずれ分かるだろうと思い話を区切った。


 女子寮から離れた俺たちは学院の校舎にやって来た。寮内にはクレアの気配はなかったため教室に向かっている。


 エストと並んで廊下を歩いていると、俺たちの姿に気がついた女子たちがチラチラとこちらを見て、ひそひそ声を立てた。


「見てほら、例の編入生よ」


「もう新しい女の子を手籠めにしてるわ」


「綺麗な娘ねー……あんな娘、うちの学院にいたかしら?」


「ねえねえ、昨日の夜、エリスたちがアイツを巡って決闘したって本当?」


「うそっ、なになに!?」


「もしかして、この学院の女の子を全員手籠めにするつもりかしら……」


「――淫獣?」


「淫獣ね」


「でも、リシャルトくんになら、いいかも……」


「え?」


「え?」


 そんな声がそこらかしこから聞こえてきた。い、淫獣?


「……リシャルトは淫獣なのですか?」


 ――グサッ!


 無垢な瞳で俺を見上げるエストの言葉が胸に突き刺さる。こ、心が痛い……。


 何とも言えない顔で押し黙る俺にコテン、と首を傾げるエスト。そんな時だった。シャラン、と鞘走りの音が背後から聞こえたのは。


「リ、リシャルト・ファルファー……きき君という男は!」


 振り向く間も与えてもらえず、首筋に刃を添えられる。両手を上げて静かに首を巡らせると、顔を朱で染めたエリスがこちらを睨み、殺気を放っていた。


「み、見損なったぞ! 君はもっと誠実な男だと思っていたのに、このようないたいけな少女を誑かし、手籠めにするとは……! この色魔め、我が剣の錆にしてくれる!」


 どうやら噂を聞きつけてやってきたらしい。君もか……頭が痛くなる。


 額を手で押さえた俺は深く溜め息をついた。


「君はなにか勘違いしているようだが、この子は俺の契約精
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