第十話「剣精霊は銀髪少女」
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護は私とお嬢様で」
「そうだったか……ありがとう」
「い、いえ、お礼を言われるほどではありませんわ! げ、下僕の面倒を見るのも主人の務めですもの!」
そう言ってそっぽを向くリンスレットの耳は朱く染まっていた。そんな主の姿にクスクスと忍び笑いを漏らすキャロル。
「そ、それに、あなたはわたくしの友達を助けてくれたのだし……」
「ん?」
「な、なんでもありませんわ!」
素直ではないな。だが、今はそんな姿も微笑ましく思える。
「ところでクレアは?」
あの時の憔悴したクレアは明らかに様子がおかしかった。
頼むから変なことを考えてくれるなよ……。
「それが、学院に帰ってきてからずっと寮の部屋に閉じ籠ってますの。わたくしがドアの前で挑発しても全然出てきませんし」
「そうか……」
やはり、スカーレットがいなくなったのは相当堪えたのだろう。いつもは強気に振る舞ってはいるが、それでも普通の女の子なのだ。
「お嬢様は幼馴染みのクレア様が心配なんですよね」
「キャロル! なな、なにを言っていますの!」
顔を赤くしてぽかぽかとキャロルの背中を叩くリンスレットに苦笑する。
やはり、素直になれないだけで友達想いなのだと改めて感じた。
「な、なんですの、リシャルト様、にやにやして」
リンスレットがムッと頬を膨らませた。
「目が覚めたならさっさと出ておいきなさい、女子寮は男子禁制ですのよ!」
「そうだな、そうそうに退散するとしよう。行くぞ、エスト」
「はい、リシャルト」
† † †
女子寮を出て学院の中庭を歩きながら、ふと気になったことを聞いてみた。
「ところでエスト、回路の繋がりは十分か? こちらから伝わる神威供給は微々たるものしかないのだが」
「はい。神威はしっかりとリシャルトから流れてきています。恐らく元々の保有量が多いため僅かにしか感じられないのでしょう」
俺の保有する神威の量はかなり多いらしい。クレアたちの神威量が精霊使いとしてどの程度の位置にいるかは分からないが、彼女たちの神威は俺からすれば少ないと感じた。これもゼウスの爺さんが言っていた『存在感の強さ』によるものだろうか。
「ふむ、そうか……。しかし、剣に封じられていた間は精霊使いとの契約を長らく拒んでいたんだったな」
「肯定です、リシャルト。私はこれまでに五十三人の精霊使いを袖にしました」
「そんな君ほどの精
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