10部分:第二幕その一
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すか」
公爵はその端整な顔からは想像もできない低い女の声を出していた。しかしその外見は紛れもなく美男子である。どうやら声だけがそうであるらしい。それがやけにミステリアスであった。
「はい、そうです」
博士はそれに応える。
「大晦日の。冗談芝居です」
「冗談芝居」
「作用、題名はこうもりの復讐です」
「面白そうですね」
公爵はタイトルだけを聞いてもう期待を抱いていた。
「何か」
「ええ。もう女優が一人見えていますし」
「女優ですか」
「ほら、あちらに」
そこに都合よくアデーレがイーダに連れられてやって来た。そして公爵の前で恭しく挨拶をする。
「お久し振りです、公爵様」
まずはイーダが挨拶をしてきた。
「そして博士も」
「はい」
公爵はにこりと笑って彼女に応えた。
「フロイライン、今日もお美しい」
博士は彼女ににこやかに声をかける。同時にアデーレを見ていた。
(おやおや)
見ながら心の中で呟く。
(いい具合に化けているな)
だがそれはあくまで心の中だ。口に出しては言わなかった。
「今日は何の御用で」
「妹・・・・・・いえ、友人を紹介したいと思いまして」
イーダは述べる。
「妹さんを」
博士は思わず言ったがすぐにそれは打ち消された。
「いえ、友人です」
「おっと、そうでしたな」
イーダに笑って返す。
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