第二十二話「イッセー、強化計画!」
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習だ。今では一カ月は魔力を循環させながら日常生活を送れるようになっている。
そのおかげで――、
「オラァ!」
強烈な震脚を利かせてレイに拳を放つ。余裕で首を傾けて回避するレイだが、拳圧でレイの髪がぶあっと浮き上がった。
後ろに跳躍して距離を取ろうとするレイだが、そうはさせないと地面を蹴る。
騎士の木場と同等のスピードでレイの後ろに回り込み、その背中に前蹴りを叩き込む!
「よっと」
レイは転身して躱すと、俺の蹴り足を掴み足払いを仕掛けた。一瞬の浮遊感。蹴り足を掴んだ手でそのまま地面に叩きつける。
「ぐっ……どらぁ!」
なんとか身体を捻りもう片方の足で掴んでいる腕を蹴り飛ばし回避。地面に手をつきバク転の要領ですぐさま距離を取った。
「んー、大分魔力運用が上達してきたね。反応も上々だし。うん、重畳重畳ー」
「マジか?」
「マジマジ。じゃあ、ここまで頑張ったイッセーにご褒美として、夕凪流活殺術の奥義を食らわせてあげる」
おいおい、それはご褒美なのか!?
「当然、この上ないご褒美だよー。技を食らわせるということは、その技を盗ませてあげるってことなんだから。まあ、盗めない技というのも存在するし、盗ませないように配慮してるけどね」
右手を引き、腰だめに構えるレイ。
「一回しか使わないから、よく見て、よく味わうんだよ?」
レイの言葉に俺は全神経を集中させた。魔力運用で感覚も過敏に研ぎ澄ませる。一挙動すら見過ごさないようにこの目に刻む!
「じゃあ、いくよ。夕凪流活殺術、奥義――」
レイの姿が掻き消え、次の瞬間には俺の眼前に躍り出た! 駄目だ、目を逸らすな!
そして、技が繰り出される。
「――螺旋抜き手」
突如、もの凄い衝撃が俺の腹を突き抜けた。突き抜けた衝撃が背後にある壁に穴を穿つ。
「手首、肘、片、首、腰、足の順に回転させることで貫通力を上げる抜き手だよ。人間が身体を動かす時は普通、身体の近位の関節から動かすんだけど、この技は逆に遠位から動かすのがミソなんだー。って、聞こえてないか」
あまりの衝撃に意識が薄れていくのを感じる。身体の力が抜けていき、倒れそうになるところをレイが抱き留めてくれた。
「まあ、頑張ったもんね……。お疲れ様。これにて修業は終了だよー」
俺を労わる優しい声が、薄れゆく意識の中ではっきりと聞こえた。
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