第二十二話「イッセー、強化計画!」
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「はっ……はっ……はっ……はっ……!」
背後から迫り来る気配。俺は必死になって逃れようと、がむしゃらになって足を動かしていた。途中、壁を背にして乱れた呼吸を整える。
「き、きついなこれ……」
そんなこんなで始まったレイとの鬼ごっこはすでに四時間が経過した。
こんなの楽勝じゃねぇか、と思っていた少し前の自分を殴りたい。楽勝だなんてとんでもない!
開始と同時にレイの姿がブレたと思ったら、五人に増えやがったんだ! お前はどこぞの忍者か!
散開したレイたちはもの凄い勢いで俺を追いかけてくる。ウ○イン・ボ○トも真っ青の早さだよ。
しかも捕まったときのペナルティがまた恐ろしい。定番のランニングや各種筋トレかと思いきや――、
アイツ、目の前で俺の秘蔵コレクションを叩き割るんだ!
しかもご丁寧にもう一人のレイが後ろから羽交い締めにするから身動きが取れない。っていうか、どうやって持ってきたんだよお前! 両親や部長たちの目から逃れるために天井裏の隠し金庫の中に入れていたのに!
この四時間の間に捕まった回数は百九十回。天へ召された俺の巨乳ちゃんも百九十人。中には絶版となった激レアDVDもあったのに……。ああ、俺のコレクションがどんどん減っていく……。
こっちはブーステッド・ギアで身体能力を倍加しているのに、まったく逃れそうにない。
「くそぅ……っ。レイの奴、絶対いつか泣かす……!」
「ならまず生き残らないとねぇ」
頭上から聞こえてきた声に思わず凍りつく。ゆっくりと上を見上げると、レイが壁に肘を乗っけて至近距離から俺を見下ろしていた。
「見ぃつけたぁ」
ニヤァ、と口が三日月のように歪むレイを見た途端、勢いよく地を蹴って猛ダッシュする。
「にはははは! 逃がさないよ〜」
背後から手をワキワキさせたレイが追いかけてきた。って――、
「それは反則だろ!?」
「世は不条理です」
これもレイの力なのか、まるで地面を走るかのように空中を疾駆している!
「くそっ、こうなったら!」
「へー」
その辺にある壁を粉々に砕いて目くらましにする。驚くレイ。その隙に魔力弾をレイに向かって放った。
――よし、ここだ!
『Transfer!』
俺の第二の力である『赤龍帝からの贈り物』。どうにかして逃れられないかと模索していたら手に入れた俺の力だ。効果は人や物に高めた力を譲渡して爆発的に力を向上させる。
「うん、それで正解だよ。だけど、まだ火力が足りないかな」
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