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遊戯王GX−音速の機械戦士−
―妖怪vs大天使―
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 ずっと部屋にこもって出て来ない三沢に何を感じ取ったか、それはエド本人にしか解らないことだが、エドはこの頃ラー・イエロー寮へと頻繁に顔をだし、精霊の力を借りて籠もりきりの三沢の様子を窺っていた。
部屋の中では、部屋や紙に熱心に数式を書きながら、自らのデッキを組み上げている三沢の姿があった。

「解った。遊矢とデュエルするために、俺はこのデッキを組んでいたんだ」

 レイと同様、それは全て親友を救うためのデッキ調整だ。
テーブルの上に置いてあった自らのデッキとデュエルディスクを取り、三沢は部屋から玄関先へと出ようとする。

「三沢先輩……その、このカード入れてください!」

 部屋から玄関先へと向かうすれ違いざまに、レイは三沢へと一枚のカードをデッキに入れるように頼み込んだ。
そのカードとは当然ながら、先程遊矢から託された彼本来のマイフェイバリットカード《スピード・ウォリアー》だ。

「……ああ。任せてくれ」

 レイから差し出されたスピード・ウォリアーのカードを、三沢は一瞬躊躇した後に自身のデッキへと投入した。

 彼はデッキを構築する際、全て計算づくで構築するタイプのデュエリストであるため、一枚でも余計なカードが入っては計算が狂ってしまうという懸念があった。
だが三沢は、そんな自分のくだらない計算よりも、自身が持ち得ぬ『カードの精霊の力』を信じてデッキへと投入したのだ。


 そして、部屋から出てラー・イエロー寮の玄関先へとたどり着いた彼が見たものは――変わり果てた親友の姿だった。

「……遊矢」

 一応その名を呼びかけてみたものの返事はなく、ただただデュエルディスクを構えているだけの姿は、まさに斎王の人形そのものであり、覚悟していたがやるせない感情に襲われて自然と目をつぶっていた。

「三沢。お前が負ければ僕がデュエルしてやるから、安心して負けるんだな」

 ラー・イエロー寮の壁にもたれかかるエドの憎まれ口を受け、自分が遊矢を救うのだという決意を再確認して目を開ける。

 そのまま腕についているデュエルディスクに、彼が今考えられる中で最高のデッキを差し込んだ。
部屋中を計算式だらけにして改造されたデッキには、未だ実験段階であったギミックを搭載してあったが、従来の【妖怪】デッキでは遊矢との実力が離れていることを実感していた三沢は、迷わずそのギミックをデッキへと投入していた。

 三沢がデュエルの準備を完了させたのを見ると、遊矢も緩慢な動きではあったがデュエルディスクを展開させ、デュエルの準備が完了する。

 レイに剣山、エド、神楽坂を始めとするその数を減じさせているラー・イエローの生徒たちが見守る中、遊矢と三沢のデュエルが始まった。

『デュエル!』

三沢LP400
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