―妖怪vs大天使―
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レイと剣山はデュエルに敗北したその後、十代と並んで今の黒崎遊矢に勝てる可能性のある人物、三沢大地に会うためにラー・イエロー寮を訪れていた。
彼の所属は一年時から既に、黒崎遊矢と共に実力でオベリスク・ブルーに昇格していたものの、ホワイト寮となっているオベリスク・ブルー寮に帰れる筈もなく、ラー・イエロー寮に身を寄せている……筈だったのだが。
いくら呼びかけと共にドアを叩こうと、PDAで三沢大地を呼びだそうとしても通じず、端的に言ってしまえば行方不明であった。
自分たちと同じように洗脳された遊矢にデュエルを挑みに行ったのか、とレイと剣山は考えたが、同寮の友人である神楽坂によると、『三沢は一週間ほど部屋から一歩も出ていない』とのことだった。
神楽坂の証言通りならば、三沢が部屋にいることは確定なのだが……一週間も出ていないとなると、流石にその身体が心配になってきてしまう。
「仕方ない、ぶち破るザウルス!」
言うや否や、ラー・イエロー寮のドアに剣山は、密室殺人事件の探偵ばりのタックルを三度ほどかまし、三沢の部屋のドアを吹き飛ばした。
レイが恐る恐る三沢の部屋の中を覗いてみると……そこは、彼女の理解が追いつかない空間だった。
部屋中のもの――壁だけでなく天井や剣山が吹き飛ばしたドアなど――にびっしりと数式が書かれており、部屋の主である三沢はソファーの上で数式が書かれた紙を掛け布団のようにし、死んだように眠っていた。
辺りには、食事にしたカロリーメイト包み紙のようなものが落ちていて、そこにまで数式が書いているのだから、この部屋が狂気に満ち満ちていることを感じさせた。
「こ、怖い……」
出来れば一生関わり合いたくない類の部屋に、つい二の足を踏んでしまうが、幸いにも剣山がドアを吹き飛ばした衝撃で、三沢がソファーから身を起こした。
「しまった、寝てしまっていたか……レイくんに剣山? どうしたんだ?」
「どうしたはこっちのセリフだドン……」
三沢がどうしていたかは解らないが、レイは、自分たちが遊矢に挑んだが負けてしまったこと、それでも遊矢は洗脳されきっていないことなど、今の状況を説明しようとした時、三沢の部屋を訪れた意外な闖入者がレイの言葉を遮った。
「三沢。ここの入り口に遊矢が訪ねて来ているぞ。……お前とデュエルがしたいそうだ」
背後から聞き捨てならないセリフを言いながら登場したのは、一応このデュエル・アカデミアに在籍している学生プロデュエリスト、エド・フェニックス……その人物の登場にもレイは充分に驚いたものだったが、彼女はそれよりエドの放ったセリフの方に注目したようだ。
「遊矢様が……来てるの?」
「……様? 何をさせてるんだあいつは……ああ。ついさっきここに来たらしい」
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