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「ん?なぁにこれ?」
「あ、姫様。またいらしたのですか?姫様はほんっとうに神出鬼没ですね・・・・」
台所で、あたしはてかてかと光る楕円形の物を手に取った。
「・・・・・これ、木?」
食べれる木?
そう言って見上げれば、つぐは口元に手を当ててころころと笑った。
「違いますよ姫様。これは、鰹節、というものです。薄く削って食べるんです。後はこれでお出汁をとると、おいしいものが出来るんですよ」
「ふぅん・・・」
「この鰹節は、大殿様が持ってきてくださった一級品ですよ。今晩のおかずに出しますから、期待しててくださいね。腕によりをかけちゃいます」
「うん。かけちゃって」
あたしは鰹節を手で触る。つるつるとしてる。
「これ、食べれるの?」
「勿論です」
「おいしい?」
「それは、もう。しかも栄養満点で。病もたちどころに癒えてしまいますよ」
「じゃぁ、葛葉にあげてこよう!」
「あ、こら、姫様!」
走り出そうとしたあたしの首根っこをつぐが掴んで止める。
「だめですよ。これはいいものなんですから。大殿様たちようです。そんなに量があるわけでもないんですから」
「でも病がよくなるんでしょ?葛葉最近おかしいもん・・・・」
「それは・・・」
「!」
急に、後ろから肩を誰かに引っ張られて、あたしはこてんと転がった。
「姫様!・・・・・と、葛葉様」
「葛葉!よくなったの!?体は!?大・・・ぅわっぷ」
葛葉があたしの顔をべろべろべろと舐める。
「きゃーーーーー!!やめてよ葛葉ぁ!!あははははっ」
あたしの上から、つぐが葛葉をどけてくれて、あたしは袖でごしごしと顔を拭く。その間も、葛葉はあたしにじゃれてくる。
「葛葉ったら!葛葉はもう瑠螺蔚より大きいんだから!気をつけてよね!瑠螺蔚がつぶれたらどうするのよー」
隣でつぐが頬に手を当てて、うんうんと頷いた。
「そうですよねぇ・・・・。もう3年にもなりますか?姫様が葛葉様を拾ってこられたときは、私そりゃぁ驚かされましたわ・・・。拾ってこられたときは、もうほんとにこんなに小さくて可愛らしくて・・・・。それがまぁ、まさか姫様より大きくなるとは思いもしませんでしたからねぇ・・・。今一番の食べ盛りはこの前田家で葛葉様ですよ・・・。反対に吉野助様はあんまりお食べにならないのに・・・。台所担当としては頭の痛い存在ですね・・・・」
「三
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