投刃と少女
とあるβテスター、幽閉される
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ゃあさっきまでは狩りの途中だったけど。でも何だってこんな時に、しかもこんなに強引に……
「だってユノくん、さっきからずっと難しそうな顔してるんだもん」
「……あ」
そう言われて。
僕は自分がここに転移させられてから、ほとんど言葉を発していなかったことに気付いた。
“嫌な予感”について考えているうちに、一人で思考の深みに嵌まりかけていたらしい。
これは僕の悪い癖だ。一度ネガティブなことを考えると、どんどん思考がマイナス方向に向かってしまう。
「バグならそのうち直してくれるよ。だから、ね?続きいこ?」
「……そ、だね。どうせ待ってるくらいなら、レベル、上げちゃおうか」
「うん!」
僕の煮え切らない態度にも気にした様子を見せず、満面の笑みを浮かべるシェイリ。
今度はやんわりと僕の手を握り、再度、出口へ向かって歩き出す。
―――ひょっとして、気を遣ってくれてるのかな……。
つい数時間前に出会ったばかりの相手に気を遣わせてしまったことに内心で謝りつつ、一方で感謝する。
心の中が不安で一杯になってしまった時、こうやって明るく接してくれる相手がいるだけで気が楽になるものだ。
「……ありがとね」
「何が〜?」
「ん、なんでもない」
「えー?変なユノくん」
にへらと笑うシェイリに、僕も笑顔を返すことができた。
今日、SAOにログインして。最初に出会ったのがこの人でよかった。
そんなことを思いながら、出口の門をくぐろうとして―――
「ぶっ!?」
「ユノくん!?」
ばしん!という音を立てて、“見えない壁”に激突した。
SAOに痛みという概念はないけれど、何かに衝突した時の衝撃はしっかりと再現されている。
不用意に門をくぐろうとした僕は、“見えない壁”にぶつかった衝撃で尻餅をついてしまった。
「大丈夫?」
「うん、痛くはないけど……。もしかして、出られない?」
答えつつ立ち上がり、“見えない壁”にぶつかったあたりを手で叩いてみる。
「ねぇユノくん、これって?」
「侵入不可オブジェクト……?」
よくよく目を凝らして見れば、出口を覆うようにして薄い膜が張られていた。
確かこれは、イベントに使うスペースなどを区切るのに使用されていたオブジェクトだったはず。
つまり、この出口封鎖はさっきの強制転移と同じく、ゲーム運営者の手によるものだということだ。
ということは、運営側はこの広場の様子をどこかで見ているということになる。
だとすれば。これだけの騒ぎになっても尚、何の告知もないというのはおかしい……。
「な、なんだよあれ!?おい、上を見ろ!」
と。
シェイリ共々目の前のおかしな現象に戸惑っているうちに、誰かが叫び声を上げた。
咄嗟に声がした方向に振り返ると、プレ
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