投刃と少女
とあるβテスター、幽閉される
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うわけだ。
シェイリもそのうちの一人だったらしく、フィールドに出て最初の戦闘では終始腰が引けていた。
「ほんと、ユノくんが教えてくれて助かったよ。ありがとね!」
「ん、どういたしまして」
最初はソードスキルのひとつも発動できない有様だったシェイリ。
でも、彼女もSAO購入者の例に漏れずゲーマーなだけあって、戦闘のコツを掴むのは思いの他早かった。
今では戦闘中に声を交わし、簡単な連携くらいならできるようになったほどだ。
ちなみに。
そこに至るまでに既に数時間かかっているのだけれど、その程度はMMORPGでは割と珍しくなかったりする。
ハイレベルのプレイヤーなんて一日中プレイしてる人もいるくらいだ。
僕もSAOにはだいぶはまっているけれど、流石に重度のMMO中毒にはなってない───はず。多分。うん。きっと。
────────────
「さて。そろそろ再開しようか?」
「は〜い」
それから二十分ほど経って。
ついつい会話に夢中になってしまい、ふと見ればお互いのHPはとっくに全回復していた。
気付けば辺りも暗くなり始めている。SAOの世界の時間は現実の時間とリンクしているため、今頃現実世界の空はここと同じように夕日に染まっているのだろう。
念のため右手の人差し指と中指を揃えて縦に振り、メニュー画面を開いて時間を確認する。
現在時刻、午後5時26分。
夕食までにはまだ時間があるし、今のうちにいくつかレベルを上げてしまいたいところだ。
シェイリもだいぶ慣れてきたことだし、そろそろ狩りのペースを早めてもいいかもしれない。
そんなことを考えながら。
敵モンスターのいる方向に向かって駆け出したシェイリを援護すべく、腰のホルスターからナイフを引き抜───こうとした、瞬間。
突如として鳴り響いた鐘の音に、思考を遮られた。
草原を吹き抜ける風の音すら掻き消すように、鐘の音が響き渡る。
今まさにモンスターに向かって細剣を突き出そうとしていたシェイリは、攻撃を中断すると不思議そうな顔でこちらに振り向いた。
「ねぇねぇユノくん。これって何の音?」
「………」
シェイリの質問に、僕は答えることができなかった。
これは恐らく、『はじまりの街』にある鐘の音だ。
だけど。あの鐘が鳴っているところなんて、今までに見たことも聞いたこともない。
―――正式サービス開始の記念イベント?それにしては……
「嫌な感じだね……」
「ユノくん?」
夕日で赤く染まった空に、鳴り続ける鐘の音。記念イベントというにはあまりにも不気味な演出だ。
何か、不吉なものを感じずにはいられない。
―――まさか、戻ったら街中ゾンビだらけだったりなんてこと、ないよね……。
少し前にテレビで放送され
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ