投刃と少女
とあるβテスター、幽閉される
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いうこともあり、その様子は世界中のメディアが注目していた。
当然ながら、初回ロットの一万本はあっという間に完売。
日本中の各地でゲーマー達がSAO購入のために三日前からゲームショップの店頭に並ぶという、傍から見れば異様な光景まで作り上げていたそうだ。
「でもよかった。ユノくんがいなかったらいつまでも『はじまりの街』にいるところだったよ」
「ん……、シェイリはMMO経験者じゃなかったっけ?」
「そうだけどさ〜」
隣に座る女性―――シェイリとは、正式サービスが開始されてから一番最初に知り合った間柄だ。
ゲーム開始直後のログイン地点である『はじまりの街』において、投擲用のナイフを買いに向かう途中の路地で声をかけられた。
以前にもMMORPGを嗜んでいたようだけど、フルダイブは初めての体験だったらしく、どこに向かえばいいのわからず途方に暮れていたのだそうだ。
初心者はちょうど武器選びから始める必要があるため、僕が向かっていた武器屋まで案内することにした。
ついでに基本的な戦闘のレクチャーも頼まれ、僕は自身のレベル上げも兼ねて、この女性とPTを組むことになった。
そうして暫くの間二人でモンスターを狩り続け、今に至るというわけだ。
「そうなんだけど、このゲームは今までのとは違うっていうか、なんかこう……」
「……ああ、なるほど」
今までのMMORPGは、パソコン画面の向こう側で繰り広げられるゲームだ。
年々進化する映像技術によって昔よりは迫力があるものが多くなったものの、所詮は『画面の中の出来事』に過ぎない。
例えば。
右も左もわからない状態でフィールドへ出たとして、成す術もなくモンスターにやられたとしよう。
従来のMMORPGでは『モニターの向こう側』のアバターがやられたところで、それはやはりどこか他人事のように思えてしまう。
デスペナルティという形でいくらかの経験値、場合によっては所持金を失ったところで、よほどの高レベルでもない限りは大した損害にはならないだろう。
MMOに限らず、RPGは『死んで覚える』というのが基本であり、初心者の間は自力で試行錯誤することも結構重要だったりする。
でも、それはあくまで“従来の”MMORPGでの話だ。
SAO《フルダイブ》の世界では話は変わってくる。
なにせ、五感全てが仮想世界とリンクしているのだ。
もちろん攻撃されても痛みは感じないようになっているけれど、モニター越しのゲームとは違い、フルダイブの世界で敵にやられるのは“自分自身”だ。
いくら仮想世界とはいえ、自分が怪物に噛まれたり剣で斬られたりする瞬間なんてものは誰だって怖いと感じるだろう。
そのため、初心者の中でも慎重な人や気の弱いプレイヤーは、なかなか一人でフィールドに出る踏ん切りがつかないとい
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