第三十一話 ドラクール
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が来たと、民主共和制に囚われて詰まらない事はしないでくれと」
静まり返った店に男の声だけが流れた。
「……お前は、誰だ?」
掠れる様な声で発した再度の問いかけにも男は答えない、黙ってミルクの入ったグラスを見ている。口元の笑みは未だ残っている、震えが来るほどの恐怖が俺を襲った。
「戦争をしないで済む時代がようやく来るんです。邪魔をするのは許さない、そう伝えてください」
そう言うと男はグラスのミルクを一気に飲み干し“勘定を”と言って五百フェザーンマルクをカウンターの上に置いた。そして驚く俺とマスターを無視して席を立つ。
男が席を立つとカフェテーブルの男達が無言のまま近づいてきた。
「もう宜しいんですか」
「ええ、十分に楽しめました。行きましょうか」
男の声に海賊が三人、先に立ってドアの外に出る。そしてその後を男と男を囲むように歩く海賊達が出て行った。
「マスター、あの男は……」
「ああ、多分、あの男だろう」
お互いに顔を見合わせた。敢えて名は言わない、言う事が怖かった。あれがそうなのか、冷ややかな刃物のような笑み……。何時の間にか曲が変わっていた……。
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