暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第三十一話 ドラクール
[7/7]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
が来たと、民主共和制に囚われて詰まらない事はしないでくれと」
静まり返った店に男の声だけが流れた。
「……お前は、誰だ?」
掠れる様な声で発した再度の問いかけにも男は答えない、黙ってミルクの入ったグラスを見ている。口元の笑みは未だ残っている、震えが来るほどの恐怖が俺を襲った。

「戦争をしないで済む時代がようやく来るんです。邪魔をするのは許さない、そう伝えてください」
そう言うと男はグラスのミルクを一気に飲み干し“勘定を”と言って五百フェザーンマルクをカウンターの上に置いた。そして驚く俺とマスターを無視して席を立つ。

男が席を立つとカフェテーブルの男達が無言のまま近づいてきた。
「もう宜しいんですか」
「ええ、十分に楽しめました。行きましょうか」
男の声に海賊が三人、先に立ってドアの外に出る。そしてその後を男と男を囲むように歩く海賊達が出て行った。

「マスター、あの男は……」
「ああ、多分、あの男だろう」
お互いに顔を見合わせた。敢えて名は言わない、言う事が怖かった。あれがそうなのか、冷ややかな刃物のような笑み……。何時の間にか曲が変わっていた……。





[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ