第二幕その一
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「旦那様には決して言わないようにと。そう言われていました」
「そうだったのか。それでどれだけのお金を」
「一〇〇〇程」
「それだけなんだね」
「はい」
召使はアルフレードの問いに頷いた。
「よし、それ位ならどうとでもなる」
彼はそう言って顔を引き締めさせた。
「今からパリに行ってくるよ。日が暮れるまでには戻る」
「わかりました」
「ただ内容はヴィオレッタには秘密でね。いいね」
「ええ」
「それじゃあすぐに行って来る。ヴィオレッタに宜しく言っておいてくれ」
彼はそう言い残して屋敷の中に戻ると正装になって何処かへと向かった。その行く先はもう言うまでもないことであった。
彼が出発して暫く経ってヴィオレッタが屋敷から出て来た。彼女は召使の姿を認めると家の前にある屋外用の椅子とテーブルに招き寄せた。樫の木で出来ていた。
「お金はどうなったかしら」
「今作って参りました」
「そう。御苦労様」
ヴィオレッタはそれを聞いて満足そうに頷いた。
「それでアルフレードは?急に姿が見えなくあったけれど」
「旦那様がパリに向かわれました」
「あら、パリに」
ヴィオレッタはそれを聞いて意外そうな声をあげた。
「また珍しいわね。どういう風の吹き回しかしら」
「そこまでは存じませんが」
彼女はアルフレードとの約束を守りそう言って誤魔化した。
「日が暮れる前には帰られるということですので。御安心下さい」
「そうなの」
「はい。後は」
「すいません」
そこで小奇麗な身なりの男が二人のところへやって来た。
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