アインクラッド編
その気持ちの名は――――
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もある。
しかしながら、そんな風にこんな世界からいち早く帰還したいと思うのならば、この世界を完全に否定しているのか、と聞かれたら即答できない。
第1層の時ならそうだ、と間髪入れずに答えただろう。
しかし、1年間でこの世界への価値観が変わった。
隣で寝ているキリトや、クラインにエギル、〈月夜の黒猫団〉との交流が楽しくなかった、と言えば嘘になる。
彼らと戦っていると1人で戦っているときよりも心強かったし、4人で打ち上げをしたのも楽しかった。
たまに彼らが馬鹿なことをやっている姿を見て呆れていたが、少し羨ましくも思っていたことも事実だ。
「ゲームクリア、か・・・・」
ポツリと呟く。
アスカはこのゲームがクリアされた後、自分たちはどうなるのだろう、と何度か考えたことがある。
おそらく、デスゲームに囚われる以前と全く変わらない生活が送れるなんてことはない。
死ぬことが許されない極限状態での戦いの日常を2年以上過ごしたような奴らだ。
自分たちがなんと言おうが、世間からどんな目で見られるか、なんて悪い方向にしか想像が行かない。
母親や命、周りのライバルとの遅れを縮め、1日も早い生還を望んできたが、帰ったところで自分の居場所が向こうの世界には残されているのか、と疑惑の芽が生えている。
「あと60層もあるから気が早い話だけどな・・・・・・」
キリトが言う。
「確かにな。とりあえず目の前の敵だ」
「・・・・めんどくさい、ってのが本音だな」
今日の戦闘を振り返ったのか、気のない返事が返ってくる。
「俺も否定はしないけど、ケイタ達の前で言うなよ、それ。攻略組先輩の俺たちが情けない姿見せるわけにはいかないからな」
「大丈夫。こんなことアスカの前でしか言わないよ」
なぜかアスカの鼓動が早まった。
別に何てことはない言葉なのに。
キリトにもそんな意図は絶対に無いはずなのに。
慌てて、思考を止めてアスカは口を開く。
「・・・・それは褒められたのか貶されているのかどっちだよ」
「うーん・・・・多分、褒めてる・・・・はず」
「そりゃどうも」
完璧に適当に言った言葉であると判断できた。
こちらも素気ない返しをする。
「褒めてるって言ったじゃん・・・・・・まあ、いいけど。・・・・ふあー」
と、そこでキリトが小さく欠伸をする。
「眠たいのなら寝ろよ・・・・」
アスカは呆れた声を出す。
眠たくない者同士、仕方なく話していただけのはずだ。
「い、いや・・・・さっきまで眠たくなかったけど、話してたら眠くなってきたみたいで・・・・変に緊張してたのが解れたかも・・・・」
「それなら寝てくれ。別に眠たくなった奴を巻き込んでまで話したくない
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