外伝その一〜海鳴市・前編〜
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イ。なんとか六課のメンバーに頼らずに目的地に行くことが優先か……………この街に来てる時点で疑われてるかもしれないけど………)
さてどうしたものかと思っていると目の端に向かい側から来る1人の女性が映った。ライは一旦思考をその女性に向けた。
その女性は両腕に果物などの食材を抱えていた。その抱えている食材の量が『人間が持てるギリギリに挑戦しています!』とアピールしている程であった。
ライがその女性に思考を向けたのはその荷物の多さ………ではなく、その女性の足運びであった。ライの目を惹いたのは彼女の動きが自然体且つ一本芯の通った力強さを感じたからだ。
ライ(……彼女、それなりの手練かもしれない。)
手に抱えた荷物のせいで顔は見えなかったが、見た目がそれなりに若い彼女にそんなことをライは思った。
次に彼女の大荷物を運ぶのを手伝うかどうか一瞬考えたが動きにムダがないため、そのまま横を通り過ぎようとしたが………
女性「キャッ!」
何もないところで彼女がこけそうになっていた。
ライ「ハッ?…エッ!」
一瞬何が起こったのか理解できなかったライは呆けた声を出すが、直様彼女の前に回り込み荷物ごと彼女の体を支えた。
ライ「フゥ…危なかった。」
女性「え?え?あれ?」
自分の状況がわかってないのかキョトンとした声を発する女性にライは話しかけた。
ライ「大丈夫でしたか、危うくころぶところでしたよ?」
女性「え?あっ、ありがとうございました。」
状況を理解した彼女は慌てたように頭を下げようとしたが、そのせいでまたバランスを崩しそうになっていたので再びライは体を支えることになった。
その後、ライは荷物を運ぶ手伝いをすると言い荷物の三分の二を運ぶことになった。最初はこれ以上迷惑をかけたくないと言って遠慮していた彼女だが、最後は彼女の方が折れることになった。今現在は彼女と二人並んで荷物を運んでいた。
その女性は少し大きめの丸メガネをかけ、伸ばした髪を三つ編みにしていた。手荷物を受け取り初めて見えたその顔は少し幼く見えたが、ライはなんとなく彼女が年上の気がしていた。
女性「じゃあ、あなたは休暇でこの街に?」
ライ「まぁ、そんなところです。」
話せる内容を考えながらライは会話を進める。そしてある道の曲がり角に差し掛かるとそこで女性の方が立ち止まってライの方に振り返る。
女性「ここまで来れば後はもう大丈夫です。すぐそこなので。」
言いながら荷物を抱えた手とは逆の手を使い一件の建物を指差す。
ライ「そうですか。でも最後まで運びますよ?」
女性「いえ、そこまでしてもらうのは……あっ。」
ライ「?」
女性「そういえば名前を聞いてませんでした。私
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