ファントム・バレット編
ファストバレット
依頼人の品格
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さらに10日前、同じくGGOのプレイヤーで《薄塩たらこ》という人物は街の中で銃撃され、同じく通信切断しているらしい。
「偶然、というのには出来すぎか……」
「そうだろうね。何らかの方法でゲーム内から殺した、というのが一番可能性がある……」
和人と菊岡が議論している間、俺は1人で黙考していた。
現在、一般に普及しているアミュスフィア、それに類するあらゆるフルダイブマシーンで人を殺す事は不可能だ。
だが、現実に人が死んでいる。この矛盾する事実は何か、嫌な予感を俺にもたらした。
盛んに議論していた2人も落ち着き始め、菊岡がようやく今回の依頼について言及した。
「ガンゲイル・オンラインにログインして、この《死銃》なる男と接触してくれないかな」
件のプレイヤーが死銃という通り名であるのは話を聞いていなかった俺にとって初耳だったが、その趣味の悪いネーミングに俺は顔をしかめた。
「接触、ねえ?ハッキリ言ったらどうだ、菊岡サン。撃たれてこい、ってことだろう、その《死銃》に」
キリトが冷ややかな眼差しと共に菊岡の本心を言い当てる。
「いや、まあ、ハハハ」
「やだよ!何かあったらどうするんだよ。アンタが撃たれろ。心臓トマレ」
「いや、何。心配要らないさ。ちゃんと対応が出来る場所をこちらで用意するし、優秀な護衛も付けようじゃないか」
なぜかどや顔でサムズアップする菊岡をひと睨みすると、俺は手元のコーヒーを一口飲んだ。
「優秀な護衛?誰だよ?」
「君の隣でムッスリしているそこの人さ」
ようやく俺までここに呼ばれた詳しい理由が分かり、俺はコーヒーを置くと菊岡に訊ねた。
「何を企んでいるんだ菊岡。こんな信憑性のない話を調査している暇があったら、取り逃がした『ボッシュ』の足取りでも追えよ」
先月のWBOでの一件は実はまだ片付いていない。後日、犯人の最有力者である『ボッシュ』こと『糸井大輔』の自宅に警察が押し掛けたが、中には何も残っていなかった。
「そっちは警察が鋭意捜索中だよ。僕の管轄じゃない。――話を戻すと、上の方が気にしてるんだよね」
どっちの上でなのか大変気になる所だったが、ここには和人もいるので自重する。
「フルダイブ技術が現実に及ぼす影響というのは、いまや各分野で最も注目されるところだ。特に生物学的なソレは日本は勿論、海外で大いに議論されている。どこかで何らかの危険がある、という結論が出れば法規制の話しも出てくるだろう。だが僕は――仮想課は、ここで流れを後退させるべきではないと考えている。ゲームを楽しむ、君達新時代の若者達のためにもね」
「……………」
いけしゃあしゃあと……。と、この発言で思ったのも仕方あるまい。勿論、今言ったこと
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