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椿姫
第四幕その五
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方の中にいるわ。これからもずっと」
「これからもずっと」
「だから。悲しむことはないわ。私は生きるの」
「僕と一緒に」
「そうよ。けれど今は眠らせてもらうわ」
 静かな声でこう言った。
「お休みなさい」
 にこりと微笑んだ。力こそなかったが優しい、優雅な笑みであった。
「お休み」
 アルフレードも言葉を返した。ヴィオレッタはそれを見て満足したようだった。
 ゆっくりと目を閉じる。そのままアルフレードの腕の中で眠りに入った。
「これでもう僕達は離れることがない」
 アルフレードは眠りに入ったヴィオレッタを見下ろして言った。
「永遠に。僕達は決して離れない。何があろうとも」
 そんな彼等をジェルモン達が見守っていた。彼等の遠くから祭りを祝う声が聞こえてくる。それはまるでアルフレードの心の中に入ったヴィオレッタを祝福するかのようであった。生の喜びを歓声によってたたえていた。


椿姫   完


                  2005・10・30

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