暁 〜小説投稿サイト〜
IS〈インフィニット・ストラトス〉駆け抜ける者
第10話
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「……ル、おい、ハル、ハル!!」
「…!ゼロ…」

考えに夢中で、ずっと呼んでいてくれたゼロにたった今気付いた。

「二組の…、『竜胆早苗(リンドウサナエ)』、だったか?何故ハルと…」

不思議そうなゼロに、あらましを説明すると、難しい顔になった。

「ワンサマーはどうでもいいが、流石に脅迫してくるのはな。ハル、勝つ見込みは?」
「無い。無いから作る」
「作るって…、どうやって?」
「アテはついてる。後は交渉するだけだ」

経験に乏しい俺が勝つには、奇策を練るか、短時間で一気に技量を上げるしかない。

今回は、相手に先に手を打たれた。奇策は通じそうにない。

「ハル、何をやろうとしているんだ?」
「秘密。人が多すぎる。盗み聞きの可能性を否定できない」

無いとは思うが、警戒するに越したことはない。

ゼロとの会話もそこそこに、カレーうどんを片付け、食堂から出る。

因みに、例の挑戦は、跳ねた出汁が一滴、手の甲に付いていた。

今回は引き分け。次は必ず無傷で完食してくれる。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「そんな事があったのか!?」

夕方、一夏に昼の出来事を話すと、心底驚かれた。

「だから無理言ってシャルルを呼んでもらったんだ」
「トモも災難だね、それはそうと、僕を呼んだ理由は何?」
「ああ、それはな…」

俺の考えを一夏達に話す。

「トモ、無茶だ!!」
「それはちょっと…、やり過ぎな気がしない?」

一夏もシャルルも渋る。しかし他に方法がない。

「オルコットには話をつけた。織斑先生の許可もとってある。後は、二人だけなんだ」

頭を下げ、頼み込む。二人の気持ちは分かっている。それを踏まえて尚、俺にはそれが必要なのだ。

「しょうがない、か。トモ、こうなったら徹底的にいくからね」
「悪いな、シャルル」
「だけど、トモッ!!」

シャルルには了承を得たが、一夏はまだ納得していない様子。

「一夏、これはな、いつか通る道なんだ」

例え縦ロールが挑んでこなくても、いずれ別の形でこの事態は発生していただろう。

「俺はまだまだ弱い、弱すぎる。だから、普通にやっていたら間に合わない。分かってくれ」
「…分かるよ、分かるけど…!」
「信じてくれ一夏。こんな事は今回だけ、全ては、勝つ為だ」

俺は、我が儘なのだろう。自分の都合のために、一夏達に迷惑をかけようとしている。

それでも、それでもやらなければ、俺に『先』はない。

「トモ…。どうなっても、責任、とれないからな」

俺に背を向け、一夏は絞り出すように了承してくれた。

「ありがとう、二人とも。明日から、頼む」

布石は整った。次は、俺が見せる番だ。

 ̄ ̄ ̄
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ