第10話
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を繰り返し、一方的な戦いを繰り広げている。
竜胆も、必死に反撃や迎撃をしているものの、智春に押されるばかりである。
「ワンサマー、ハルは何をしたんだ?」
「訓練だよ。速度を上げる。地獄の、な」
「地獄?」
「ああ。その内容は…、俺、シャルル、セシリアの全力全開の攻撃を、延々と回避し続ける」
「…馬鹿な!そんな事をして、もし何かあったら…!」
「俺達もそう思ったよ。でも、トモは言った」
「…何を?」
「『狂気が必要だ』と」
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『…ぐわっ!!』
『トモ、もう止めよう!速度なら、やる前とは段違いに上がった、続ける理由は…!』
何時間も狂った訓練を続け、耐えきれなくなった一夏が切り上げを提案する。しかし、智春は受けない。
『ここで止めたら…、付き合ってくれてる一夏達に申し訳がつかない。完遂するまでやる』
『どうしてそこまで…!』
『【斜めの線】を引く為だ…』
『…斜め?』
『才能、才覚の才って字は、縦と横、一から十を知り、斜め、更に上を行く考えを持つ者が得る字だ。俺は、ゼロや一夏達みたいな斜めが無い。無いから…、自分で書き足すんだ!』
ふらつきながらも立ち上がり、シャルル達に合図する。
『うおおぉぉ!!』
そうして、訓練は続いていった。
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「…ハルは、ハルはどうなったんだ?」
「やりきった。トモは狂気で、得られなかった斜めを、無理矢理書き足した」
「褒められた手段では無かったけど。苛めてるみたいで、いい気しなかったし」
「成功した時は驚きましたわ」
シャルルとセシリアが思い返して笑っている。
「だが、トモの本領はこの先だ。まだ出してない」
「アレはえげつないよ」
「ええ。丹下さんをアレで恐ろしいと本気で思うようになりましたから」
三人の空気が変わったことを敏感に読み取ったゼロは、モニターを見ることに集中することにした。戦況は、智春優勢のまま、進んでいた。
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「話が違う…!丹下智春がこんな…!」
「男子三日見ざるは刮目して見よ、って言うだろ!」
上に、下に、右に左に、動き回って攻め立てる。縦ロールが焦り始めた、いい頃合いだ…!
俺は、勝利の為ならなんでもする。その意味、その身でとくと味わってもらう!
瞬間加速で飛び込み、ギリギリ当たらない攻撃を放る。
「隙を見せましたわね!今度はこちらの…、っ!?」
「動けないだろ?ビックリするよな」
驚愕する竜胆。何と言うことはない、上に注意を向けさせて、足を踏んでいるだけだ。
冷製に対処すれば、大したことの無い事。しかし、今の竜胆は、計算違いと屈辱で頭が一杯。対策を取る余裕がない。
必死で
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