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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
最後の血戦
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アインクラッド第七十五層ボス部屋の中、立っているのは《神聖剣》ヒースクリフこと茅場晶彦と《黒の剣士》キリトの二人だけとなっていた。

キリトは剣を収めると跪いて皆と同様に倒れているアスナの上体を抱え起こし、その手を握った。茅場に向かって視線を上げる。

「………どうするつもりだ。この場で全員殺して隠蔽する気か………?」

「まさか。そんな理不尽な真似はしないさ」

紅衣の男は微笑を浮かべたまま首を左右に振った。

「こうなってしまっては致し方ない。予定を早めて、私は最上部の《紅玉宮(こうぎょくきゅう)》にて君達の訪れを待つことにするよ。九十層以上の強力なモンスター群に対抗し得る力として育ててきた血盟騎士団、そして攻略組プレイヤーの諸君を途中で放り出すのは不本意だが、何、君達の力ならきっと辿り着けるさ。だが………その前に………」

茅場は言葉を切ると、圧倒的な意志力を感じさせるその双眸でひたとキリトを見据える。

その右手の剣を軽く床の黒曜石に突き立てる。高く澄んだ金属音が周囲の空気を切り裂く。

「キリト君、君には私の正体を看破した報奨(リワード)を与えなくてはな。チャンスを上げよう。今この場で私と一対一で戦うチャンスを。無論不死属性は解除する。私に勝てばゲームはクリアされ、全プレイヤーがこの世界からログアウトできる。…………どうかな?」

「…………どうかな……じゃねぇ………」

地の底から響くような声が、ヒースクリフの抗弁を遮った。

倒れたレンがゆっくりとその体を起こしながら、紅衣の聖騎士を睨みつけていた。その体には、ドス黒い過剰光が包んでいる。

「………ばかな」

信じられないような顔でこちらを見つめるヒースクリフの目の前で、レンは少しふらつきながらではあるが完全に立ち上がった。

「……………ハッ」

レンは嗤った。楽しそうに、可笑しそうに、嘲るように。

「血盟騎士団を育ててきたァ?きっと辿り着け『ルゥ?ハッ……ハッハッハハハハハハハハハはははあはははあハハハハハハハハハハハはははハハははは」あははははハハはハッハハハハハハハハハ『ははははハハはははは「あはははあはあっははあハッはあっはあはは』あはははハハァ!!」

レンは音高く、狂ったように哄笑した。それはこの空間の中で、果てしなく異物なモノに見えた。

「ふざけるな」

レンの口から無意識のうちに微かな声が漏れた。ごおっとレンの全身から、煙のように漆黒の過剰光が噴出する。

奴は、己の創造した世界に一万人の精神を閉じ込め、そのうち実に四千人の意識を電磁波によって焼却せしめるに留まらず、自分の描いたシナリオ通りにプレイヤー達が愚かしく、哀れにもがく様を傍から眺めていたと言うわけだ。ゲームマスターとしてはこれ以上の
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