第二話 亀裂
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
くと、環境への変化が懸念されてる。だから管理局も、各世界の原住民も、それには触れないようにしていたんだ。それに、もとから劣悪な環境の世界に関しては、逆にこの柱が一定のレベルまで“環境を修正”しているとも取れる』
「そして、これか…………」
次に写された映像は、まるで地球崩壊の様子を絵に描いたかのような映像だった。
弩級の巨大クレーターと、その周辺の惑星環境の劣化。原住民や生物は死に絶え、土地は荒廃し、空は暗く歪み、水は溝のように汚れ濁り果てている。
…………こんなものが、あらゆる世界に複数点在しているというのか……。
この映像の管理世界は、三十年ほど前に“崩壊”した世界だ。魔法文化の無い、代わりにある程度進歩した科学技術によってそれらを補っている。崩壊の要因は惑星環境の悪化、生物の絶滅が主な内容。しかし実際のところ、このような状態になったのは僅か一週間足らずの事。直後、同様の柱が確認された世界では周辺を管理局が厳重警戒態勢を強いて包囲するようになった。
しかもその一週間前には、人類は地表に高く突き出た柱を『悪魔の御業』『他世界の異物』と称し、それらを研究、撤去するつもりで宇宙空間へとそれを“廃棄”したそうだ。その結果が、コレである。つまりこの柱は、あらゆる次元世界の惑星が“誕生したばかりの頃”に、その大地に打ち込まれたものだと推測できる。
しかし、不可解な点もある。ユーノは新たな映像をクロノに見せる。その映像の世界は非常に自然豊かな環境で、生物も多種多様な生態系を確立している。しかしこの世界には、その柱が無いのだ。
『おそらく柱は、これを“打ち込んだ人間がいた頃”の次元世界、その全てに打ち込まれているんだと思う。けどたぶん、彼らは予測してなかったんじゃないかな。数百年、数千年後には次元世界は分裂し、増殖し、進化していることを。だから柱が点在する世界は、次元世界全体で見ればそれほど数が多くない』
「となれば、考えられるのは…………」
両者の思考の先に行き着く言葉は、一つだけ。名を、アルハザード。
不死の技術を持つとも、死者を蘇らせるとも、この世の全てを手にする事が出来るともいわれる、もはや伝説の世界。しかし、存在したことは事実であり、その技術の遺産もその破壊力の“末端”も確認されている。現在確認されている“古代遺産”の多くは、この世界に由来するものだ。
「アルハザードの生き残りか、もしくは」
『アルハザードが生み出した、人造生命体……そう考えれば、なのは達の報告にあった『虚数空間からの出現』にも納得がいく。『死体の状態から再生した』ってのもあながち間違いじゃない』
「そうだった場合、僕達にあの男を止める方法は無い……たぶん」
いずれにせよ、あの男がアルハザードに関連する者
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ