第二話 亀裂
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日も見たとおり、俺の術式は君達の知るものではない。あと言ってはなんだが、俺は中々に“死ににくい”。…………そんな俺を、君は敵に回すのか?」
「……かまいません。闇の書の主さんがどんな人かは知りません、ひょっとしたら悪い人なのかも知れません。でもだからって、それでも誰かが犠牲になってもいいなんて、そんな事は絶対にダメなんです。わたしが戦って、それでシグナムさんやヴィータちゃんが救えるのなら、私は――――あなたと戦って、説得してみせます」
……“説得”か。殺すと決断しないあたりは、まだまだ子供……――いや、それがいい。それこそが大事なのだ。
『殺す』という簡単よりも『殺さない』という難しいをこの少女は選んだ。その決意こそが、この男にとっては嬉しくもあった。誰もが『殺すしかない』といわれたこの身を、説得して見せるとこの少女は言った。こんな人間に出会ったのは、一体いつ以来か。
その眼差しは、幼いながらも決意と覚悟を秘めていた。あぁ、やはり。
「…………いいだろう、ならば君の思うとおりに頑張るといい。俺はそれに悠々と立ち向かおう」
「はい。わたしはあなたを、絶対に止めてみせます」
「よろしい。――――マスター、勘定を頼む」
「え、お金持ってるんですか?」
そういえば、この男は虚数空間から出てきてまだ翌日のはずだ。
別世界から来たのなら、この世界の通貨を持っているわけが無いのに。ノアはにやりと笑って、
「金の出何処など、子供が気にすることではない」
× ×
「杭?」
『杭、っていうか柱、って言えばいいかな』
アースラの談話室にてクロノは、画面の向こうのユーノの話を真摯に聞いていた。
ソファーに腰を下ろし、クロノはテーブルを挟んで複数の映像を見ていた。その映像には、複数の次元世界各地の映像が写されており、その画像の全てに、巨大な柱が写り込んでいた。水晶と金属、どちらとも取れる輝きと外見を有した柱は、映像だけでも直径0.5キロメートル以上はある。
『管理世界、管理外世界の数十箇所で確認されたこの柱は、いずれも特定の周波数の信号を発信している。そしてそれは、なのは達が接触したっていう”棺の男”が現れたときと、同じ信号だって事。そして先日、なのは達の世界である地球で、その信号が強力などの世界よりも周波数で確認できたこと』
「信号が発信されているとして、その意味はなんだ? なんでそれに今まで誰も気がつかなかった?」
『こうしてその末端が突出しているのはほんの十数か所で、他の世界ではその柱は全て地中に埋まっていてその存在を知ることも出来なかったんだ。それに、気付いてはいたんだ。ただ、どの柱もあまりに“深く喰い込み過ぎて”迂闊に抜
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