第二話 亀裂
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たい。出来るなら後悔も悲劇もない、そんな結末を迎えたい。悲しんでも、苦しんでも、最後に笑っていられるような、そんな最後を。
……でも、どう話しかけたらいいのぉ〜。
あんなことの後だから、正直怖くて話しかけられない。
しかも父親の士郎とかなりいい雰囲気だから尚更だ。言明しておくが、決して薔薇は咲いていない。ささやかな焦燥に涙目になりつつも、そのままとことこと店を出て行こうとする。すると突然、
『お嬢さん』
念話だ。間違いない、店の中のあの男だ。レイジングハートに識別してもらうまでも無い。
店の入り口から振り返り、店内のカウンター席を見る。男は視線だけをなのはに向けていた。そしてその目は静かにこういっている。『こっちに来い』と。誘われるままに、なのはは男の方へと足を運んでいく。
「お帰りなのは。学校のほうはどうだった?」
「え……あ、うん。特に変わったことも無かったよ」
「ほぅ、この子はマスターのお嬢さんですかな?」
わざとらしい、しかし助け舟。どう話したらいいかと迷っているところに、向こうからきっかけを作ってくれた。ちょっと怖い感が増した気もするが、この際そんな事はどうでもいい。今はアタックあるのみ。
「えと、はじめまして。高町なのはです」
「はじめまして、俺の名はノア。海外から仕事で、しばらくこっちに住む事になってね。丁度いい感じの喫茶店を見つけたら、日本にも中々に粋なマスターが居るものだ。娘さんも、よく出来た子に違いない」
「ははは、中々お上手ですなぁ。確かに娘はよく出来た子ですよ、自慢の娘の一人です」
「一人というと、兄弟か姉妹がおられるのですか?」
「えぇ。兄が一人と姉が一人。そして我が最愛の妻の桃子! 高町家はいつも賑やかハッピーライフ! この幸せを多くの人に振りまいてあげたいっ………!」
――――あれ、これってひょっとして………
なのは、身内事情を秒で握られる。しかも身内の親バカのせいで。ほろりと涙を浮かべながら、なのはは男の左側の椅子に腰掛ける。ご機嫌な士郎はそんななのはにカフェオレを一杯。コーヒーの注文が入り、士郎が他の客のほうへと足を運ぶと、ここぞとばかりに男は口を開いた。
「君は、管理局の職員か?」
「民間協力者です、でも……貴方の目的は、なんなんですか?」
「目的は複数あるが……今は、“闇の書”の回収が目的だ、とだけ言っておこう」
回収。つまりこの男は、“闇の書”がどういうものかを知っている。
現在ではユーノが、無限書庫にてその事件の記録や“闇の書”についての情報を検索している最中だ。だがあのベルカの騎士達とは敵対している、その“闇の書”を回収するというのなら、この男は管理局とベルカ、それとは異なる第三勢力になる。脳裏に浮か
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