暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
真実
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を表示させると、HPバーがかなり減少しているのが見て取れる。だが、半分には達していない。本当にぎりぎりのところでブルー表示に留まっている。

あの致死の鎌をヴォルティスと二人で、とうとう捌ききったのだ。

普通ならば数値的なダメージに留まらず、疲労困憊して倒れても不思議ではない。その証拠に、ヴォルティス卿が息を整えているくらいだ。

だが、悠揚迫らぬ立ち姿には、精神的な消耗など皆無と思わせるものがあった。

───全く、信じられないタフさだ。

レンがフンッと鼻息を吐き出したと同時に、視界の端でキリトの妙な動向が映った。

いつも穏やかな表情を崩さない黒ずくめの剣士が見たこともないほどの険しい顔をし、右手の剣を握りなおして、ごくごく小さな動きで徐々に右足を引いていく。

腰を僅かに下げ、なぜか低空ダッシュの準備態勢を取る。その標的は───

ヒースクリフ。

キリトのその動きを不審に思ったのか、アスナが声をかける。

だがその時には、キリトは地を蹴って猛烈なチャージを敢行していた。

ヒースクリフとキリトの距離は約十メートル。床ギリギリの高さをキリトは全速で一瞬にして駆け抜け、右手の剣を捻りながら突き上げた。

レンの記憶によると、あれはおそらく片手剣基本突進技《レイジスパイク》。威力が低い技のため、命中してもヒースクリフを殺すことはないだろう。

そんな技を、なぜ───?

ペールブルーの閃光を引きながら、自身の左側面より迫る剣尖に、ヒースクリフはさすがの反応速度で気づき、目を開いて驚愕の表情を浮かべた。

咄嗟に左手の盾を上げ、ガードしようとする。

しかし、キリトも仮にも六王第三席。一条の光線となった剣が、空中で鋭角に角度を変え、盾の縁を掠めてヒースクリフの胸に突き立つ──寸前で、目に見えぬ障壁に衝突した。

紫の閃光が炸裂し、キリトとヒースクリフの間に同じく紫───システムカラーのメッセージが表示された。

そこに記されていたのは簡素な英語表記。

【Immortal Object】───不死存在。

か弱き有限の存在たる一般プレイヤーにはありえない属性。

「キリト君、何を───」

キリトの突然の攻撃に、驚きの声を上げて駆け寄ろうとしたアスナがメッセージを見てぴたりと動きを止めた。キリトも、レンも、ヴォルティスも、当のヒースクリフも、ユウキ達を含めた周囲のプレイヤー達も動かなかった。

まるで、動くという動作を忘れてしまったように。

静寂の中、ゆっくりとシステムメッセージが消滅した。

キリトが剣を引き、軽く後ろに跳んでヒースクリフとの間に距離を取った。数歩進み出たアスナが、その右横に並ぶ。

「システム的不死………?……って…どういうことで
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