第1話 召喚されたのは女の子ですよ?
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こえて来る涼やかなる音色。
そして、微かに漂う花の香り……。
再び、少女が視線を上げたその瞬間、足先より舞い降りる白き影が一人。
ふわり、と言う形容詞が最も相応しい、柔らかき羽根の仕草で地に降り立った瞬間に、その白い影が身に付けた小さな金属から、再び、微かな音色が聞こえる。
「やったな、美月。召喚は成功やで!」
白い紙吹雪と、四方を盛り塩、注連縄。そして、御幣に護らせた神道式結界術の中心に存在している、その召喚されたと思しき少女を見つめていた召喚士の巫女の足元に、一匹の白猫が近寄って来て、声を掛けた。
そして、
「龍神の能力を持っているかどうかは判らへんけど、間違いなしにそれなりの神格は有して居るで、このネエちゃんは」
更に、そう続けたのだった。
……四本足で歩く、食肉目ネコ科の生命体以外には見えない白い動物が。
「審神者のアンタが言うのなら、やっぱり、成功したって言う事か」
足元にじゃれ付く白猫を抱き上げる美月と呼ばれた少女。白衣と紅の袴。しかし、その上に流れる金の髪の毛が、妙な違和感のような物を造り上げ、其処に人語を話す白猫が加わる事に因って、この聖域の空気が、妙な喜劇めいた雰囲気を作り出している事は間違いない。
そして少女は、明らかに大任を果たし終えた事に対する安堵のため息をひとつ洩らした後に、
「そしたらさぁ、召喚に応じてくれたって事はアンタも転生者で、招待状を受け取ったって言う事なのよね」
……と、召喚されたと思しき神道式結界の中心に立つ少女の方に視線を移して、そう聞いた。
その態度、及び雰囲気は、どう考えても仲の良い友に対する態度。しかし、開けっぴろげで、他者に隔意を抱かせないその雰囲気は、その美月と呼ばれた少女には相応しい物なのかも知れない。
少なくとも、嫌悪感を抱かせる類の態度では無かった。
しかし……。
「すべからく生命は輪廻転生を繰り返すので、其処に存在している限り、間違いなく転生者で有る事に違いは有りませんが、招待状と言う物に関しては、私は良く存じ上げては居りません。
あるいは、佐伯の者の元には届いて居るやも知れませんが、それが私の元に確実に届くとは限りませんから」
少し小首を傾げた後、鈴を転がすような声で、そう答える少女。
髪は腰までも届く長い黒髪。西洋風の顔立ちの少女に召喚されたその黒髪の少女は、清楚で古風な雰囲気を漂わせた東洋風の佳人で有った。
但し、彼女の容貌でもっとも奇異に感じさせるのは、その瞳。黒目がちの右の瞳は落ち着いた雰囲気を放つ理知的な色を浮かべているのに対して、紅の色に染まりし左の瞳は、その色から血を連想させる事により、見る者を悪戯に不
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