第1話 召喚されたのは女の子ですよ?
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すか。
それならば、
「何が起きるか判らないから、今晩から、寝る時にもそれぞれ物理反射や魔法反射などを施した上で、俺とタバサは、最低一体の式神を召喚して護衛と為す」
俺は、それまで、俺と湖の乙女のやり取りをただ黙って見つめるだけで有ったタバサを見つめ、そして、次に再び湖の乙女に対して視線を戻した後に、そう提案を行う。
その俺の提案に対して、双子の如き同期率で首肯く蒼き吸血姫と湖の乙女。
取り敢えず、今の俺に為せる事はこの程度ですか。
そう考えながら、視線を在らぬ方向へと彷徨わせて居た俺の視線と、少し不安の色の滲む瞳で俺を見つめて居たタバサの視線が二人のちょうど中間地点で絡み有った。
その瞬間、俺は笑ってから後、大きく首肯いて見せる。
まるで、危険な事などない、と安心させるような強い調子で。
ただ……。
ただ、それでも尚、俺自身が言い様のない不安感に苛まれているのは間違いなかったのですが……。
☆★☆★☆
広間に、一際大きな柏手が打たれた瞬間、この広い屋敷自体が僅かに震えたように感じ、周囲を通常の空間から、異世界から何モノかを召喚しようとする雰囲気へと変えて行った。
そう。柏手とは天地開闢の音霊そのもの。そしてそれは、天の岩戸を開ける音。
この場を、神の訪れに相応しい清浄な場へと昇華させる始まりに相応しい。
「高天原に坐す天と地に御働きを現し給う龍王よ」
周囲を包む気は、清浄そのもの。彼女からその祝詞の一言が発音される度に、広間を包み込む気が一段階、更に清浄な気へと浄化される。
朗々と、切々と、続けられる祝詞。
「胸の内に念じ申す大願を成就なさしめ給えと」
その少女。長い金髪を頭の両端でシニオンの形に結い上げ、其処から下へと自然に流す。瞳は深い海の碧。一心に唱えるその表情からは、未だ美女への階層を昇り始めた段階。おそらくは十四、五歳と言う事が推測出来る少女。
瞬間、世界に白が舞う。
そう。それは白き紙。大体、三センチ四方に刻まれた紙吹雪。御幣で有った。
まるで、雪のように宙に舞う白き紙吹雪は、それ自体に何か特殊な霊が宿っているかのような不自然な動きで宙を舞い、ゆらゆらと、ゆらゆらと、宙空を揺らめき続ける。
その刹那、少女の周囲で、不可思議な霊気が渦を巻き始めた。そう、それは非常に濃密な霊気の渦。
但し、その気の質は正。そして、陽。
「恐み 恐み 白す」
二拝、二拍手。
そして、最後に深く一礼。
刹那。
しゃらん……。
少女が深く礼を行った瞬間、何処かから聞
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