第1話 召喚されたのは女の子ですよ?
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不審な態度に対しての疑問のような物を発して居る湖の乙女。
「こんな紙切れがいきなり現れたんやけど、湖の乙女は、この妖怪食っちゃ寝に何か心当たりは有るか?」
そんな湖の乙女に対して、俺は、読んでいた小説のページに挟み込まれていた、そのまるで栞のような一枚の紙切れを指し示しながら、そう問い掛けた。
そう。少なくとも、俺の知り合いに、こんな不思議な事を為せる存在は居ません。
何故ならば、ここ、魔法学院女子寮のタバサの部屋は、現在、ハルファスの職能。霊的な城塞に因って守られている為に、侵入するには、最低でも俺の許可か、タバサの許可を必要として居ます。
その許可を得ずに、魔法でメッセージを送り込む事が出来る存在と言うのは……。
少なくとも、敵に回したくはない相手で有る事だけは間違いないでしょう。
俺の手元を覗き込んで来ていた湖の乙女が、少し考える雰囲気を示した後、小さく首肯いた。これは、間違いなく肯定。
そして、
「この手紙の主が、本当にこの名前の存在ならば、間違いなくあなたの関係者」
……と、彼女に相応しい属性の声で答えた。
成るほど。現在の俺が知らないけど、彼女が俺の関係者だと言う事は、この妖怪食っちゃ寝と言う存在は、前世で俺と何らかの関係が有った相手だと言う事なのでしょう。
しかし、俺と因果の糸を結んだ相手と言うのは……。
湖の乙女を見つめながら、蒼き色に染まった夢の世界で繋がった自称、俺の親分。
そして、魔法に対して鉄壁の護りを誇るこのタバサの魔法学院の部屋に、魔法で手紙を送り込める存在。
一体、どんな生活を送っていたと言うのですか、前世の俺だったと言う存在は。
「それでその妖怪食っちゃ寝、と言うヤツは、危険な仕事を押し付けて来るタイプのヤツなのか?」
まぁ、前世の俺の生活に関しての追及はどうでも良いですか。今の俺と直接関係がない相手ですし、まして、それよりも重要な事が存在していますから。
そう。このメッセージの内容に、多少成らざる不穏当な部分を感じていますからね。
確かに、このメッセージの内容からは其処まで危険な雰囲気を感じる事は有りません。しかし、どうも嫌な雰囲気が有るのも事実。
そして、『出張る』と言う単語が、その感覚を強く発しているような気がするのですが。
俺の問いに対して、湖の乙女は首を横に二度ゆっくりと振って答えた。これは否定。
しかし、
「不明。わたしが直接知って居る相手ではない」
……と、そう答えて来る。
そして、その答えの中に、彼女に相応しくない僅かな焦燥のような感情が発せられた。
成るほど。これは、少し危険な事件に巻き込まれた、もしくは巻き込まれる可能性も有りと言う事で
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