追想〜燃え盛る煉鉄〜
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体感時間で見積もって約五分後、俺はたった一人で巨人と相対していた。剥き出しの胸に輝く金属を見るに、あれが『巨人の抱く鋼』なのだろう。
巨人と言っても見上げる程巨大な訳ではなく、俺と比較してみるに四、五メートル程度だろう。人型のMobは大抵何らかのスキルを使用する。その巨人は腰巻き以外何も纏っておらず無手だったので体術スキルを使用するだろうと予想して、俺は体術使いが最も苦手とするヒットアンドアウェイに徹する事にしたのだが・・・・・・
「はぁぁ!?」
なんと、その巨人は足下の石を思いきり俺に投げつけて来たのだ。有り得ない行動に一瞬動きが止まる。直後ぶち当たる石。ご丁寧にソードスキル仕様だ。しかし、決して軽装備でない俺をたった一撃で吹っ飛ばす遠距離スキルなど俺は知らない。
「おいおい嘘だろ・・・・・・」
俺のHPバーは半分以上が消し飛んでいた。『煉鉄』の二つ名が示すように俺の防御力、HPの膨大さは他の追随を許さない位堅牢だ。それを易々と貫く攻撃力に、驚きも呆れも通り越して笑えてくる。
もう一度この一撃を喰らったら俺とて残り火(リメントライト)に早変わりだ。幸いさっきの石投げはモーションも大きく予備動作も存在したので回避自体はそう難しくない。俺は今度は巨人の懐まで肉薄して右腕へ縦斬りを放つ。片手剣単発スキル?バーチカル?。だが・・・・・・
「痛ツゥ!?」
激突した剣と腕からガギィン!と金属同士が悲鳴を上げたような音が響き衝撃が肩を打つ。その手応えはまるで破壊不能オブジェクトをぶっ叩いた時の様な不快な堅さだった。HPは・・・・・・微塵も減っていないだと!?
「くっそ・・・・・・リズ、まだか・・・・・・!」
騒ぐ不安を押し殺し、俺は相方の鍛冶師に思いを馳せた。
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