追想〜燃え盛る煉鉄〜
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リズベットサイド
「あっついわねー・・・・・・」
あたし、リズベットは今日何回目かの額の汗を拭う。ダンジョンの先行探索隊としてダンジョンの南へ向かったあたしと相方の片手剣使いクレイオスは、下への階層へと降り続けていると熔岩が溢れるフロアにたどり着いた。暑さや寒さはALOの中でも再現されているので、汗があたしが鎧の下に着ているウェイトレス風の服を容赦なく濡らして行く。現実世界のあたしの体が汗だくになっていない事を祈るばかりだ。
「しっかし確かに暑いな・・・・・・なんなら脱「脱がないわよ」ちっ・・・・・・」
軽鎧を着込んだクレイオスが舌打ち。自分の幼馴染みが『煉鉄』の異名をもつ鍛冶妖精のトッププレイヤーと知った時は驚いたが、思ったより堅くなる事なく会話が出来るようになった。・・・・・・・あいつがうっかりリアルの名前をであたしを呼ぶのは気にくわないけど。
肌を焼く暑さに耐えながら進むと、あたし達は一目で最新部だと分かる巨大な扉に辿り着いた。
クレイオスサイド
俺、クレイオスこと神代聖(こうじろ ひじり)と俺のリアルでの幼馴染みであるリズベットはこのダンジョンの最新部と思わしき扉の前で首をかしげていた。
「何なのかしらこれ・・・・・・」
扉の中心には一対の剣と盾のレリーフが施されており、その下には暗号に見える文が彫られていた。
『汝、この燃え盛る川を炉とし燃え盛る川を刃として剣を打て。汝、この地に棲む巨人の抱く鋼にて盾を打て。その一対の武具を示すならば巨人の王は汝らを歓迎せん』
・・・・・・・つまり、このレリーフに合う剣と盾を作れと言うことだろうか?
「確かにここの少し手前の安全地帯に炉として使用出来そうな場所が有ったわ。イベントで武器を作るなんて初めてだけど・・・・・・やってみる価値はあるわね」
そういうと彼女は川の岸でハンマーとヤットコを取り出す。ヤットコを川に突っ込み引き出すと、そこから燃え盛る煉鉄が現れた。・・・・・・蒼空のように蒼いそれは、川から出てきた瞬間に俺達を吹っ飛ばしそうな程のプレッシャーを放った。
「うわっ!?何これ?こんなインゴット見たこと無いわよ!?」
彼女が驚くのも無理は無いだろう。実際、俺は本当に引っくり返った。
なんと言う・・・・・・なんと言う凄まじい性能か!剣としての形を持っていないにも関わらずそのプレッシャーは初心者プレイヤーなら脳波異常で確実に強制ログアウトされていただろう。それほどのものなのが何故こんな所に・・・・・・
「とにかく!あんたは巨人が腕に抱く鋼ってやつを探してきてちょうだい。見つかり次第それも盾にするから」
そう言って彼女は剣の精錬に取りかかった。やれやれ仕方ない、いい加減始めるか・・・・・・
「おおおッ!」
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