暁 〜小説投稿サイト〜
真似と開閉と世界旅行
動き出す者達〜
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うなるんだい?」

「・・・っ!?」

顔を上げると、目の前に須郷が立っていた。

「・・・僕のPCで何をやっているのかな?」

「いえ、起動してあったモノですから・・・」

「下手な嘘はいらないよ。君の行動は監視カメラを通して僕に筒抜けだからね」

「・・・なるほど、最初から手の上で踊ってたんですね、わたしは」

「・・・まぁ、流石にここまで来るとは思わなかったけど・・・さて、どうしようか」

わたしはチラリとモニターを見る。・・・データも大体コピー出来た。

「・・・」

「このまま君の行方を消すことも出来るけど・・・自宅に閉じ込めて貰うのが一番かな?」

わたしは・・・思い切り書類の束を薙ぎ払った。

「・・・!」

一瞬だが須郷が怯み・・・その脇を一気に駆け抜ける。

「(抜いた・・・!)」

だが一瞬見えた須郷の顔は・・・・・・


「・・・!?」

・・・・・・笑っていた。


「・・・くっ!」

だが、止まる訳にはいかない。わたしはそのまま一気に走り、会社から出る。

「はっ・・・はっ・・・」

そして近くのトイレに駆け込み、個室に入る。

「・・・」

・・・自分の身体をを見下ろす。多少の膨らみ、お嬢様みたいな服、長い栗色の髪。・・・これがわたし。

「・・・ふぅ」

呼吸を整えて、上着とスカートを脱ぎ捨てる。そしてバッグからフード付きの黒いパーカーと紺のジーンズを取り出し、着替える。ヘアゴムを使って髪を一纏めに括り、最後にだて眼鏡を付ける。

「さてと・・・」

再び自分を見下ろす。大きめのパーカーで胸の膨らみは解りにくい、まるで都会にでもいそうな服装、慣れ親しんだ一纏めの髪に眼鏡・・・

「今からは・・・俺の番だ」

気持ちを切り替える。少しでも気が緩めば早貴に逆戻りだ。

「覚悟しやがれ、須郷・・・必ず、アスナを・・・!」

俺はバッグを背負い、走り出した・・・



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