第四幕その二
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はこう問うてきた。
「はい」
「なら宜しいです。それでは」
彼女はやけに勿体ぶって言う。それがヴィオレッタには不思議で仕方なかった。
「貴女に喜ばしいお知らせです」
「私にですか」
「はい。それは」
彼女はにこりと笑っていた。そしてヴィオレッタに対して告げた。
「あの方は今パリにおられます」
「えっ!?」
ヴィオレッタはそれを聞いて思わずベッドから身体を起こした。
「それは本当ですか!?」
「はい」
フローラはそれに頷いた。
「御父上と一緒に。御父上に連れられてこちらに戻られたのです」
「それは本当のことですか!?」
ヴィオレッタはもう一度問うてきた。
「本当に彼がパリに戻って来られたのですね」
「はい、そして」
フローラはまだ言った。
「こちらに向かっておられます。もうすぐ来られることでしょう」
「本当なのね!?」
顔に生気が戻ってきていた。そしてまた問う。
「彼が。私の側に」
「もうすぐ御会いできると思いますよ。待ち遠しいですか?」
「それはもう」
もうその気持ちを隠そうともしなかった。
「今あの扉が開いて彼が来るのかと思うと。それがもう楽しみで」
「そう、もうすぐです」
二人は部屋の扉を見ていた。そこにはまるで希望が輝いているかのようであった。
「彼が来ます。貴女の前に」
「ああ!」
喜びのあまり声をあげた。
「もうすぐあの扉が開いてあの方が」
「貴女の側に。音が聞こえてきませんか?」
「音が」
「ええ、彼の足音が」
耳を澄ます。確かにそれが聞こえてきた。それは扉に向かって近付いてきていた。
「ほら、貴女に御会いする為だけに」
「私の為に」
「今それが止まりました」
確かにそれは止まった。扉の前で。
そして扉が開いた。遂に彼が姿を現わしたのであった。
「ヴィオレッタ!」
「アルフレード!」
二人はそれぞれの姿を認めて互いの名を呼んだ。アルフレードは駆け寄りヴィオレッタを抱き締める。彼女はそれを両手を拡げて待っていた。そして彼を受け止めた。
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