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剣の丘に花は咲く 
第七章 銀の降臨祭
第二話 三匹がイク!!
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物の恨みは深い。
 例えこの戦争に勝ったとしても大きなしこりは残る。
 その際のスケープゴートとして亜人を用意してあるとは言え、完璧とは言えない……。

 二つ……サウスゴーダの水に罠を仕掛けること。
 それも特別性の……将軍たちには『虚無』の罠だと行っているが、その実は……分からない……教えられていないのだ……だが、わたしは知りたいとは思っていない……それどころか知りたくないとすら思っている。

 なのに……。

「いい、一体な、何をするのですか?」

 知りたくもないのに……聞いてしまう……。
 口にしてしまう。
 恐ろしさのあまり……。
 聞いてしまう。

 嫌だ。

 嫌だ……ッ。

「サウスゴーダの水に仕掛ける罠とは?」

 嫌だッ!

 知りたくないッ!!

「それで本当に倒せるのですか?」

 知りたくはないっ!!

「勝てるのですか?」

 ああ……何でだ……なんでわたしはあの時、あんなことを願ったのだ……ッ!?

 あんな物乞いの老人の言葉など、無視すればよかった……ッ!!

 ただの冗談だったのにっ!!

 王になりたいなど……ッ!!

 それなのに、そこから始まってしまった……。

 虚無の力を語り……アルビオン王家を滅ぼし……トリステインに攻め入り……。

 暴風に回される風車の如く、箍が外れたかのように回り始めた私の運命は……今……終わりに向かっている……ッ!!

 限界を超える暴風に耐えられず、壊れてしまう風車のように……ッ!!

 そんなところにいるのに……わたしは未だ何も知らないッ!!?

 この指輪は何だっ!?

 この女は一体何者だっ!?

 わたしを王にした目的は何だッ!?

 わたしは何も知らないッッ!!??

 ああッ!?

 知るのは怖いッ!!

 だが……。

 だがッ!! 

 このまま何も知らない方が……もっと怖いッッ!!?













「中隊長殿は初陣の筈ですよね?」
「え? あ、ああ。そうだが」

 唐突に隣りから声を掛けられたギーシュは、それが自分の年上の部下であるニコラであると分かると、小さく頷いて答えた。

「それにしちゃあ、随分と冷静ですなあ」
「……まあ、これも訓練の成果かな?」
「訓練?」
「魔法の特訓に付き合ってくれた人がいるんだが、その人がこれがもう、滅多矢鱈に強くてね。前に立つだけで震えが止まらなくなってしまう程の人なんだ。だから、まあ、それが原因と言えば原因じゃないかな?」
「へぇ〜……そりゃとんでもないメイジなんでしょうねぇ。それだけ凄いと有名なメイジなんじゃありませんか?」

 うんうんと
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