第七章 銀の降臨祭
第二話 三匹がイク!!
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アルビオンの首都ロンディウム。
そのホワイトホールでは、上陸を許してしまった連合軍への対処についての激論が繰り広げられていた。状況は最悪としか言い様がない。頼りのアルビオン空軍艦隊は、先日行われた艦隊戦において、残っていた四十隻の艦隊の大多数を失ってしまい。制空権は完全に握られてしまっている。そして、これまでの敗北により、死者や怪我人、離反者も含めれば、既に全軍合わせても四万を少し超える程度の数しか残っていなかった。
敵は六万の軍勢で、今は制空権も握られている。対してこちらは四万弱の軍勢と二桁にも届かない数の戦艦だけ。
更に敵は未知の魔法を使う。
『レキシントン号』を堕とした巨大な光。
空一面に映る、質感さえ感じさせる程の幻影。
敗北は間近であった。
にも関わらず。
全ての責任者たるクロムウェルには、全く焦りは見られなかった。それどころか、笑みさえ浮かべ、非難の視線を受け流している。
そんな余裕が見える姿に、将校たちの何人かは、まだ策があるのではと期待染みた目を向けていた。
期待を掛ける将校たちの考えの通り。確かにクロムウェルには、策があった。自身が考えた策ではないが、この逆境を払えるだけの策が確かにある。
だが、それを口にすることが出来ない。
何故ならば、それは確かに有効な手段であったが、非道と呼ばれるものだったからだ。
自分に向けられる視線をくぐり抜けるように、背後に立つ黒ずくめの秘書に視線を送る。
返ってきたのは……。
『早くしろ』
ただそれだけ。
クロムウェルは内心の焦りや動揺を顔に出すことなく、机を軽く拳で鳴らす。
耳をふさいでも聞こえそうな喧騒の中、その音は大きくホワイトホールに響き渡った。
「さて、それでは奴らを一掃する話をしようか」
「わた、わたしは怖いのです! メイジでもなんでもない、た、ただの男のわたしが、あの、あの悪魔のような作戦を命令するなどっ! それにっ! もしっ! もし失敗したらと考えたら……お、恐ろしくて!」
会議は無事終了した。
最後には熱狂の内に終わったほどだ……が。
しかし今。クロムウェルの心は荒れに荒れていた。
不安で狂いそうになる心を保つように、シェフィールドの足にすがりつく。かつてアルビオン王の寝室だった場所で、みっともなく這い蹲りながら。
会議で決まった作戦は、大きく二つ。
一つ……サウスゴーダの住民から食料を奪うこと。
連合軍の目的はアルビオンを征服することだ。そのため、戦争に勝ったあとのことも考えなければならない。ならば、飢え死にしそうな民を見捨てる可能性は低い。結果、敵の数少ない食料はさらに減り、足止めとなる。
効果は大きいだろうが、食べ
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