第68話 =地底世界ヨツンヘイム=
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……べ、別に1日くらい徹夜したって」
そういうリーファだが学校へ行っていない俺とキリト、そしてすでに進学先の大学が決まっているサウスと違ってまだまだ学生で明日も学校があるのだろう、そんな人が俺たちなんかと一緒に来てもらう理由は無い。
「リーファ、本当にありがとう。リーファがいなかったらここまで来ることは多分出来なかったよ。めちゃくちゃ感謝してる。どれだけ言っても足りないくらいにそう思ってる」
「………別に、君のためじゃないもん…」
不意にその呟きが聞こえ、少し下げていた頭を上げると目線をそらされさらに口を開いた。
「あたしが…、あたしがそうしたかったからここまで来たんだよ。それくらい判ってくれてると思ってたのに無理やり付き合ってもらってた…。そう思ってたの?」
「そんなこと…」
思うわけが無い、けれどリーファから流れる涙を見て俺はそんな風に思わせることを言ったんだ、と自覚させられた。感情がオーバーになるVRMMOだからこの涙は嘘のものじゃないだろう。
「あたし…今日の冒険、ALO始めてから一番楽しかった。ドキドキしたりワクワクしたり……ようやくあたしにももう1つの世界なんだって信じられる気がしてたのに…!」
「…リーファっ!?」
そう言ってリーファは外へと駆け出そうとするのを止めようと腕を伸ばす。が、その瞬間ボルルルルルゥ…と、低い咆哮が俺たちの耳まで届き足を止めさせる。この咆哮は大型モンスター、つまり邪神モンスターというのは確定だろう、というかヨツンヘイムには邪神しかいないらしいし。その証拠にさらにずしんずしんと地震を起こすような足音も聞こえてくる。
「…待ってって、リーファ!」
「離して!あたしが敵をプルするからその隙に…」
抑えた口調でささやきあうがその間にリーファの肩に手を乗せたサウスが外に視線を向けてさらにささやく。
「そうじゃないよ、リーファちゃん」
「そうじゃないって……どういうこと?」
「…1匹じゃない」
キリトの声に俺も耳を澄まして聞いていると確かにエンジン音のようなものと木枯らしのようなひゅるるという音も聞こえてくる。
「だったらなおさらのことだわ!誰かがタゲられたらその時点でもう手遅れよ!」
「だからそうじゃないって言ってるでしょ……その2匹の邪神は」
「互いを攻撃しあっているようなんです!!」
まさかモンスターとモンスターの戦闘があるとは……どうやらここにいる全員そんな体験は無いらしく慎重にだが様子を見に行くことにした。
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