第二十一話 夏休みのはじまりその十六
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「蛙はいいのよ」
「じゃあ蛙ね」
「ええ、蛙を増やしてみるわ」
景子はそれでいいと決めた、こうした話をしてだった。
五人は部活を楽しんだ、夏の部活は本格的にはじまろうとしていた。
彩夏は家に帰るとすぐに自分の母親、自分がそのまま成長した様な彼女に笑顔でこう言ったのである。
「あのお母さん夏休み塾に行っていい?」
「夏期講習に行くの?」
「うん、八条学習塾にね」
そこにだというのだ。部活で話したことをそのまま母に話す。
「行こうって思ってるけれど」
「行きたいっていう理由はあれよね」
母はリビングでソファーに座ってゲームをしながら娘に言う。見ればスーパーロボット大戦の新作をしている。
そのうえでこう娘に言ったのである。
「皆が行くからよね」
「わかってるの?」
「勿論よ」
顔はゲームに向けているが笑って言うのだった。
「それはね」
「ううん、そうだけれど」
「いいんじゃない?」
返事はすぐだった。
「それじゃあ」
「いいの」
「理由はどうあれ学生の本分は勉強だからね」
「お勉強はお仕事と同じっていうのね」
「そうよ、だからね」
それでだというのだ。
「いいじゃない、お金のことは心配しないでね」
「有り難う、それじゃあね」
「お母さんからも丁度言うつもりだったし」
「そうだったの?」
「その八条学習塾にね」
塾も同じだった。
「そこにしたら、って言うつもりだったの」
「絶好のタイミングだったのね」
「これ以上はないまでにね」
まさにそうだった、母はゲームを続けながら娘に話す。
「最高よ。じゃあ皆で頑張って勉強してきてね」
「そうしてくるね。八条学習塾は」
「あんたあそこに行くのははじめてよね」
「八条学園関係の参考書とか問題集がいいのよね」
「あそこの子は大抵八条学園に通ってて進学してるのよ」
同じ八条グループが経営しているせいかそうなっている、こうした塾も珍しい。
「もっともあの大学大きいから他からも大勢入ってるけれどね」
「お母さん詳しいわね」
「だってお兄ちゃん八条大学でしょ」
「ええ」
彩夏の兄も八条学園の学生なのだ、つまり兄妹揃って学園の生徒なのだ。
「それでなの」
「あの大学にも詳しいつもりよ」
「じゃあ八条大学を受ける為にも」
「あの塾に行った方がいいわよ」
夏だけでもだというのだ。
「それじゃあいいわね」
「うん、それじゃあね」
娘は母の言葉に頷いた、こうしてこの話は決まった。
彩夏は塾の話を決めてからキッチンに入りそこにある冷蔵庫を開けた、そこから冷やしている麦茶を出してコップに入れて飲んでからまた母に声をかけた。
「スパロボやってるのね」
「そうよ」
「お母さんそのシリーズ好きよね」
「最初
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