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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
激戦のその後に
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、道端に落ちてる100円は懐に仕舞うこともある。

 そう言う意味で、士郎のツケは溜まっていく一方だ。
 そして総ては自己責任…………最後には、謂れ無い悪意を受け続けて自壊する。

 オレや凛はそういうことに我慢できない質だが、どうにかしてやる気もない……というよりどうしようもない。
 出会ってからそうだと気づいていくらか改善の手段を試みても見たが、オレなりの試行錯誤も悉く失敗に終わってきた。

 こいつのことは、自分に可能な範疇を超えた問題なのだ。
 オレには限界だと感じた問題は放棄、破棄するのが信条の一つにある。
 無理難題に関わり続けていては、自身によくない結果にしか繋がらないという経験則。

 故に士郎については、そのうち助けるに相応しい誰かが現れるだろうと勝手に思っている。





「なら、オレはおまえの方針に沿わないマスターってことだ。だったら近いうちに倒しに来い、それがオレを止めるのに一番手っ取り早い方法だ」
「俺は自分から仕掛けるつもりはないけど、いつかはそうなるんだろうな。けど、次に一番どうにかしないといけないのはキャスターだ。遠坂も多分そうするだろうし」

 なるほど、現状理解は十分か。
 オレも次に倒すべきはキャスターと目標に定めている。

 一般人を巻き込むことすら厭わない戦術、他のマスターさえ利用しようとする狡猾さ。
 何より慎二が暴走したこの一件について、全てが丸く収まっただなんて考えてはいない。
 友人をこの手にかけた以上引き戻す道はない。オレと慎二の二人分、ツケられたものはキッチリとノシつけて返さなければ気が済まない。

「……了解した。それじゃキャスターを倒す前に道端でバッタリ、なんてことがないように祈っておくぜ」

 踵を返し、士郎と凛とは逆に校門へ向かう。

 戦闘の緊迫感に起因する気の抜けなさとは別に、身体の限界を無視している状態もそろそろ厳しい。
 こっちの方に関しては気を抜いてしまえばそのまま気絶してしまいかねないので、最低限家に帰るまでは気を張り続けていなければならない。

 校門を出て安全域まで離れたのを確認し、フェンサーを霊体化させる。
 霊体を実体化させている負担がなくなり、僅かだが身体が少し楽になる。

 後はこのまま、学園から家までの徒歩20分といった距離を踏破できるか。





 疲労困憊の身体を引きずり、俺はようやく今日一日を無事生き残ることが出来たのだと実感していた。


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