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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
激戦のその後に
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炸裂の魔術を直接叩き込まれ、慎二の頭部が弾け飛ぶ。
腕を掴んで必死に足掻いていた姿が嘘のように、糸が切れた人形のように地面に崩れ落ちた。
飛び散る肉片。ヒトの一部だったモノ。
手は温かな血に塗れ、命の雫とも言うべき赤に濡れている。
今この瞬間には、まだ慎二を殺したという実感は湧かない。
ただ恐らくこの手に残った感触、温度。それらは一生記憶から消えることはないものになる。
何故ならオレの手にはもう一つ分、親しい者の命を奪った記憶が永遠に刻まれているから。
急に引き寄せられる感覚。余韻に沈んでいた意識も引き戻される。
気づけばオレの元まで走り寄ってきた士郎に胸ぐらを掴まれ、必死の表情で問い詰められていた。
けれど言葉は耳に入ってはこない。
正確には聞こえてはいるが、意味を理解するために頭が働こうとしない。
ただ茫然と……鬱陶しいと感じたので払いのけようとしたが、オレが行動するよりも早く彼女が動いた。
「私のマスターに無礼はやめてもらえるかしら──────それ以上は敵意とみなすわ」
剣を首元に宛てがわれ、緊張した面持ちで士郎が三歩下がった。
咄嗟に臨戦態勢に入ったセイバーを手で制するも、抗議の視線だけはこちらに向けている。
「よしなさい衛宮くん。黎慈がやらなければ、冬木を預かる
魔術師
(
遠坂
)
として私がやるべきだったことよ。
あなただってこれだけのことを仕出かした慎二が、無事に済むだなんて考えてはいなかったでしょ」
「……けど、決着はついてたじゃないか。わざわざ殺す必要まではなかったはずだ」
「そんなものは戦争の当事者である黎慈と慎二の問題よ、あなたが口を出すことじゃない」
全くもってその通り。
慎二の標的はオレたち3人だったとしても、アイツの始末を請け負ったのはオレだ。
自身と慎二に関わる全ての責任を一人で背負うということは、負けて殺されようとも彼らに関係はなく、逆に相手をどうしようともオレの自由である。
士郎の言いたいことはわからないでもないが、そんな理想は現実では何の意味もない。
争いがあれば死は逃れられない結果として存在し、争いなどなくとも人は死んでいく。
人を助ける、救うことは限りなく善に近いが、あらゆる状況でそれを押し付けるなら独りよがりもいいところだろう。
「これで一段落したわけだが……どうするつもりなのかだけ、聞いておこうか」
問う声には未だ戦意が入り混じっている。
いくらか気を抜いたつもりだったが、身体は本能的にまだ臨戦態勢を維持しているらしい。
どうする、とはどういうことか。
現状、ここにはもう一人サーヴァントがいる。
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