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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
聖杯戦争、始動
激戦のその後に
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を覆っていた結界も解けた。
 そして今回の一件は、サーヴァントを撃退して終わりというわけには行かない話なのだ。

「さて、と」

 とある場所へと向けて歩き出す。
 
 魔力は残り2割といったところ。
 これくらいなら、用件を済ませるには十分だ。

 そう。ライダーを打倒した後にやらなければいけないこと、それは──────

「なぁ、慎二。責任は取らせるぜ……?」
「ひ……ぁっ」

 フェンサーに受け止められた後、逃走封じとして慎二を束縛の魔術で拘束しておいたのだ。
 戦闘終了の安堵とともに、色々放棄して眠ってしまいたいと考えたことの一つはこれだった。

 ライダーのマスターにして、学園の生徒全員を生贄に捧げようとしたコイツの始末をつけること。
 今となっては後の祭りであり、あの時オレが見逃したせいでこうなったというのも結果論ではあるが。

 魔術師として聖杯戦争に参加し、戦いを挑み、一般人にまで手を出した。
 オレはケジメとして、その責任をコイツに取らせる必要がある。それこそ魔術師のルールに則って。

「待て黒守……僕はっ、むぐ!?」
「もう何も喋るな。何を口走ろうとしてるのかは大体わかる」

 右手で口を塞ぐように顔面を掴む。
 刻印から右腕にだけ強化を施し、頭蓋を軋ませるほどの握力で慎二を持ち上げた。

 言い訳も命乞いも聞きたくない。
 この期に及んでまだ何か聞き入れられるとでも思っているのか。

 せめて魔術師としての誇りを抱いたまま、潔く逝かせてやるのがオレに出来る最後の手向けだ。

「いい戦いだった。おまえは強かったよ、慎二」
「ん……ぐ、ん……ッッ!」

 右腕の魔術刻印の一つに魔力光が灯る。
 起動した刻印に秘められた意味は、炸裂。
 このまま右手で掴み上げている慎二の頭を、一瞬で吹き飛ばす。

 これがオレにとって一番の方法。

 俗に、人を銃で撃ち殺した場合、相手の命を奪った実感を持てないという。

 そういった話を聞いたことがある。
 だからこそこの手に命を奪う実感を刻むため。



 おまえを殺したという事実を、これから背負って進んでいくために………………



 校舎から出てきた士郎が何か叫んでいる。
 アイツのことだから、恐らくやめろなどと言っているのだろう。

 けどこれはオレと慎二の勝負の結果であり、他者に口出しされることではない。

 少しだけ、士郎と凛の方を一瞥する。
 士郎は必死な表情、対して凛は全て理解し納得した表情で。

 そして最期になるだろうもう一人の方へと視線を戻し。










 オレはこの手で、間桐慎二という友人の命を断ち切った。






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