Episode1 出会い
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付きに相応しく俺のことを頭二つほど下から見上げていたことだ。尻餅をついていては分からなかったが、少女はかなり小柄だった。
俺の記憶が確かなら…いや、確かでなくてもナーヴギアというゲームハードはこれほど小さな子が装着できる代物ではなかったはずだ。
五十歩…いや、百歩譲ってこの子がナーヴギアに相応しい年齢だとしても、見るからにオドオドして顔面蒼白の女の子を……げんなりするが俺の性格では放っておけない。
あの――と声をかけようとしたその時、少女の後方の草むらが大きく揺れた。あからさまに少女が怯え、頭を一つ下げると
「ご、ごめんなさい!」
俺の横を走り過ぎて行った。振り返り見たその時には、既に少女の姿は俺の背後の草むらに消えていき、俺とその子はお互いにほとんど話すこともなかった。
謎の少女を見送った後、次はさっきの比にならない勢いで
「邪魔なんだなぁ!」
誰かが背中にぶつかってきて、突き飛ばされた俺は顔を地面に強かに打った。
「うぐ…」
「なぁお前!」
強引に肩を掴まれ上を向かされた俺の顔のすぐそこに、男の顔があった。少女から一転、男性の顔が近くにあることに戸惑わざるを得ないが、とにかく男の手を離させながら立ち上がった。
「…んだよ」
少々不機嫌な声だが、勘弁してもらうとして何事かをベラベラと喋り続ける男の全身を見た。
背丈は俺より少し高いか同じくらい。少し…いや、かなり肥満気味な体をホルンカで売られている革鎧で包み、背からは斧か何かのものとおぼしき木の柄がのぞいている。
そして、さっきからこの男は『女の子を見なかったか!?』という内容のことを繰り返している。
「こう、キラキラしてホワンホワンしてマジ天使な子なんだけど!」
唾がかかりそうなほどの至近距離で繰り広げられる弾丸トークが嫌になり、二、三歩あとずさる。
「で!こうフワフワで!」
「待て、待て待て!」
手で制しながらさらに距離を取り直す。二人の間隔が三メートルほど開いたところでしっかり相手を見据える。
「そんな子知らない。なんなんだ、おま――」
「じゃあもういい!」
バンッと強く突き飛ばされ、再び地面に叩き付けられる。地面に倒れたまま男のドタドタという足音が去るのを待った。
「うぐぐ…いてぇな、あいつ」
立ち上がると少々目眩がしたが、ブンブン左右に頭を振って目を覚まさせる。現状ではまだないが、モンスターの打撃攻撃なんかを頭に喰らったらこんな感じになるんだろうか?
…じゃないな、今考えることは。
「なんだったんだ…?」
あの男はなんだったのか。そして、咄嗟に嘘をついたが男が捜していたのはさっきの女の子だっただろうということ。
…うん、答えの出しようがない。
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