飢餓航路
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脱出。
脱出船団が同盟艦隊に袋叩きにあっている間、船を雪原の中に隠して同盟軍の撤退を待ち、基地とプラントの爆破によって同盟軍が降下せずに撤退する事を読みきって、同盟軍撤退後にジャミングなどを一切かけず偵察衛星も隕石と間違えたこの船は堂々と脱出し同盟の勝利に小さな染みをつける事になった。
帝国はこの一隻の勇士を政治的に持ち上げ、負傷しながら見事に生還を果たしたアデナウアー少佐を持ち上げたが、彼の生還に寄与し昇進した二人の新米仕官の事は話題にはならかった。
惑星カプチェランカの帝国軍撤退船団の撃破・降伏は同盟側の士気を大いに高めたが、駆逐艦ハーメルンUの生還を帝国側が持ち出した事による記者会見が開かれ、同盟軍広報官は、
「ドライアイスによるハイネセンの偉業を学んだのでしたら、ハイネセンが信じた民主主義も学んで欲しかったものです」
と皮肉で記者たちを笑わせたが、その緑髪の女性達は帝国から伝えられた情報で新米仕官二人がもともと基地所属で見捨てられた金髪と赤髪である事を知らされ愕然としていた。
政治的に落ち目の帝国に起こった久々の英雄譚。
専制国家ならではの優遇と抜擢で偶像の英雄として祭り上げられたアデナウアー中佐(昇進)の影に、本物の英雄が居た事を彼女らの生みの親によって生まれる前から知らされていたのだ。
逃した魚はとてつもなく大きい。
こうして、彼女達は彼女達が生まれた理由――自由惑星同盟を滅ぼしかねない一人の英雄――に相対する。
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