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銀河英雄伝説 アンドロイド達が見た魔術師
飢餓航路
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なかった。
 それも、拠点制圧戦後半あたりから蓄積された戦闘データがフィードバックされるに及んでだいぶ改善されたのだが。
 誤算なのは、人間が持つ仲間意識だった。
 使い捨てかつ動く的目的で投入されたのに、それを助けに行く兵士達が続出。
 中には、戦友と呼ぶだけでなく俺の嫁と呼ぶ紳士が出た事で、人形師も苦笑しながら救済処置として、優秀な兵士でかつ結婚するならばそのドロイドのデータをアンドロイドに写し、孤児を引き取る事でそのアンドロイド化の経費を負担したのである。
 今に続くトラバース法の走りがこれである。
 なお、この過程で直系子孫を残したい欲望から男親のDNAをクローンニングした子供を残す研究も花開き、上流階級層を中心に遺伝子操作を施した新人類『コーディネーター』が誕生したりしているが、それが深刻な差別問題に発展しないのは貴族専制社会である帝国の存在のおかげだろう。
 外敵の存在は、国内問題を覆い隠すのである。
 まぁ、別作品のぐてぐてを知っていた人形師がアンドロイド同様に社会貢献として彼らコーディネーターを軍に投入しているからで、最悪アンドロイドと同じく社会問題化したら辺境星系に別国家樹立のプランを用意するあたり、この人形師人間の業の深さをよく分かっている。
 もっとも、『○ムロや○ラが居た所で万の艦艇とその数倍の単座戦闘艇全部潰せるわけもないか』と究極の数で戦闘をする銀英伝世界に安堵したとかしなかったとか。
 そんなコーディネーターの一人が、ヤンの船に乗っているアルテナだったりするのだが、同盟最高機密の一つだったりする彼女の背景は全て欺瞞によって作られており、ヤンですらジークマイスター提督の往年の子として騙された位である。
 本人のDNAを使っているから騙されて当然なのだが。
 話がそれたが、陸戦特化の将官に対して艦隊戦専用のサポート仕官をつけようと用意されたのが本来のアンドロイドの目的だった。
 そんな背景があるから、サポートという形で実務を取ってしまい、『政治委員』と陰口を叩かれるのにはこんな理由もある。
 現在、陸戦上がりの将官は大将どまりで事務方や政治家に回り、実務の頂点たる宇宙艦隊司令長官と統合作戦本部長は艦隊派の牙城と化している。
 同時に、大量の人間を抱える陸戦上がりの将官が有力政治家になる事が多く、国防族議員の多数派を占める現状は、権力闘争という人の持つ業のある意味妥協点なのかもしれない。

「ままならないですなぁ。
 フェザーンあたりは、ここの資源に目をつけているとか。
 帝国が放棄した資源採掘プラントを再建して売り出したいとかなんとか」

 パトリチェフ副長の言葉は今回の出兵理由の大まかな当たりをついていた。
 フェザーン新自治領主となったアドリアン・ルビンスキー氏がここの天然資源に興味を
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