飢餓航路
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得られず、人形師が意図した消耗戦に引きずり込まれていたのである。
「エル・ファシル管区警備艦隊、第一戦隊本隊ワープアウト。
護衛艦のワープエンジン分離。回収作業を開始。
艦隊母艦アイラーヴァタから、シールド艦を展開中及びワープエンジン回収中」
ワープ機能がない護衛艦とその搬送目的として艦隊母艦の話は前にしたと思う。
とはいえ、艦隊母艦一隻で運べるのは百隻あたりが限界なのだが、それを数百隻搬送可能にしたのはからくりがある。
それが、護衛艦に外付けされたワープエンジンの存在である。
船一隻を搭載するよりも、大きいとはいえワープエンジンを搭載した方がスペースは小さくなる。
更に、回収前提で一回使用にする事で燃料タンクの削減に成功。
その分こうやってワープアウト後に回収作業をしなければならないのだが、軍艦を作るよりもトータルコストでは安くつくのだ。
なお、警備艦隊は政府補助が出るとはいえ、星系政府の所有物である為、護衛艦を作りたがる事も忘れてはならない。
「シールド艦展開位置を確認中。
ミサイルの発射軌道を入力します」
准尉の報告の後にアッテンボロー戦術長が展開されつつあるシールド艦を避ける形でミサイルの発射軌道を入力する。
このシールド艦は艦隊配備率が5%もある艦隊の盾なのだ。
元々は帝国軍の貴族乗艦を守る為の盾艦がその起源になるのだが、ジャガーノート級艦隊母艦の登場によって、艦隊母艦を叩く=勝ちという風潮が生まれる中でその重要性が増してきた船だったりする。
あまりにも分かりやすい勝ちポイントである艦隊母艦に砲火が集中するのならば、それを守る盾を用意した方が効果的に敵を撃退できるのである。
防衛戦闘の有利さはここに存在する。
敵がビームを撃ち尽くして撤退しても、こちらが戦場に最後まで立っているならば勝ちなのだ。
そして、同盟軍には消耗しても困らないドロイド兵が存在していた。
かくして、攻撃能力0で全エネルギーをシールドにしているシールド艦が誕生する。
数に劣る帝国軍が艦隊母艦に攻撃を集中させる間、艦隊母艦を守り他の艦が帝国軍を叩くという図式が近年の戦闘で成立していた。
また、シールド艦が破られて艦隊母艦が撃沈されるケースも存在するのだが、そのころには帝国軍のエネルギーが不足するのと増援艦隊が到来するので戦闘には勝つが戦略目標を達成できないという形に落ち着いていたのである。
「第十艦隊第三分艦隊、第一戦隊および第二戦隊のワープアウトは二時間後の予定。
本艦は所定位置に着きました。
第十偵察隊司令部より通信。
隊列そのままで惑星カプチェランカの偵察任務を行う。
以上です」
「了解したと伝えてくれ。准尉。
第一種戦闘態勢発動!
航海長
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