第33話 海鳴市に正義降臨!(1)
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手に、すずかは自分のざわめいていた心が落ち着いていくのを感じた。
「だから、そんな思いから生まれる仲魔には、それまでの私達の記憶や力を一部とは言え持っているの。
だから大丈夫、そんなに悲しまないで。例え姿が変わっても、あなた達の事を忘れたりしない。こうやって出会った事は無駄になんてならないの。この思いは、受け継がれるんだから」
髪を撫でる手を止めずに、柔らかな春の日差しのような温かい笑みをリリーはする。
それは、母が子を安心させるために心を砕くかのようであり。これからいなくなる自分を心配しなくてもよい、と、なのは達に言っているようだった。
だから、なのは達はリリーが去るものなのだと考えてしまう。そんな寂しい気持ちを何とか抑えつけ、なのは達も笑顔でリリーを送り出そうと――
「まっ! そんな事言っても今回私は合体する気さらさらないんだけどねーーっ!!」
――決心した瞬間、楽しげなリリーの声がテラスに響きわたった。
「きゃああああっ! ぐるぐるするぅぅぅ!?」
それからすぐに、ぐわんぐわんと盛大にすずかの頭を撫でまわされるすずかの悲鳴が重なる。
余りのテンションの変わり様に、なのはとアリサはポカンとそれを見ることしかできなかった。ちなみに純吾は何故か「うんうん」と頷いている。
「おーっほっほっほ! どうだったかしら、リリーさんのぷわぁーふぇくと悪魔合体教室は? 合体に臨む仲魔の気持ちがばっちり! 理解してもらえたかしら〜?」
「確かに分かりましたけどっ! リリーさん、合体するんじゃないですかっ!?」
ひとしきりすずかの頭を撫で回して満足してお嬢様笑いをするリリーに、いち早く再起動したアリサが机から身を乗り出して喰ってかかる。
それを見て、さっと雰囲気を変えるリリー。高笑いから一転、ヨヨヨと顔をそらして泣き始める。
「酷いわアサリンっ! そんなに私に消えてほしいだなんて…。はっ、だ、ダメよ! 私が消えたからってジュンゴは渡さないんだからっ!!」
「な、なな何言ってるのよ! っていうかジュンゴ! あんた、その合体するためにこの色魔呼んで話しさせたんじゃなかったの!?」
「合体? ジュンゴと合体するーっ!」と、再び純吾に飛び込もうとするリリーを抑えつけながら、アリサは純吾に矛先を向ける。彼が彼女を呼んだのだから、ちゃんと説明をしてほしかったからだ。
「? ジュンゴ、話聞くしか、言ってないよ」
しかし、純吾は不思議そうに首をかしげる事しかしない。
「だ、だって合体しない? ってリリーさんに聞いてて」
「あら、ちゃんと言ったじゃない。戦いを有利にするためにするものだって。
雷効かなくて、ジュンゴとしっかり合わせられる仲魔って、今のジュンゴだと結構貴重なのよ?
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