SAO編
episode7 笑顔と希望2
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「どう思う?」
「……むぅ」
店主…歴戦の強者然としたツラの茶褐色の肌の巨漢は、困ったように眉をハの字に寄せた。答えたくない、という意味の「むぅ」だったのだろうが、それを無視して返答を待つ。
案の定、数秒で巨漢…エギルが折れた。
「……推測としては、可能性は否定できない、ってところか。確かにこのアインクラッドで、結婚まで至る者は少ないからな。その程度の人数であるのなら、不可能ではない、かもしれない」
「そうか」
言質をとった俺は、一言頷いた。
一夜明けて、クエストを終えた俺はエギルの店に赴いてこの不思議なアイテムとそれに関しての俺の持論を話していた。それほどに、《追憶の聖晶石》は、含みのあるアイテムだった、と言えるだろう。
《追憶の聖晶石》。
それは、効能的には単なる《映像結晶》となんら変わるところの無い、スクリーンショットを映し出すアイテムだ。問題は、その内容。既に死亡しているはずのソラの姿がしっかりと映っている…というか、明らかにソラを主役として写真が取られており、他の人影は見えない。
俺達…といっても、二人だけだが…はこの現象について幾つかの仮説をたてた。
一つは、俺の案…『蓄積データからの抜粋』だ。
アインクラッドは、データで作られた世界だ。ということは、全てのプレイヤーの言動はデータに変換されている。そしてそれは、ある程度の「バックアップ」が取られているのではないか、という案だ。何かの現象…恐らく不測のゲームの不具合などの際に取りだすためのそれがこのゲームにも存在しており、その中からこのクエストにふさわしいと思われるソラの映像を抜き出した…という意見。
二つ目は、エギルの案…『映像結晶からの抜粋』。
俺のものと似ているが、これはバックアップではなく、実際に取られた《映像結晶》のデータをアインクラッド中から検索、ピックアップしているのだという意見だ。確かにアインクラッドの初期人口が一万人ということを考えると、俺の案であるその全員分のバックアップは馬鹿にならない容量になる。こちらの方が現実味があるだろう。
そしてこの議論の中で出てきた、俺の中の一つの仮説。
同時に、エギルが言うのをためらった理由となる、仮説。
「ありえなくは、ないってことか……」
『結婚』というシステムについてだ。
俺のエギルに対する反論の中で、「特定のプレイヤーのみのデータが保存されているのではないか」という案が浮かんだのだ。そう、たとえば…「『結婚』していた」とか。思えば、あのクエストはやけに「未亡人」というワードが押されていたように思う。前回挑んだプレイヤーから考えてクエスト自体は既婚者でなくても受注可能だったが、裏ボスはどうだろう。
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