暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
SAO編
episode7 忘れ得ぬ想い2
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 結論から言おう。
 俺の行動は、正解だった。

 正解だったが、それが良かったかどうかと聞かれると、それはまた別の話だが。

 流れていた川面に、不思議な波紋が生じる。と同時に、水面から反射していた光が細かいポリゴン片となって、その波紋の同心円の中央へと収束していく。

 「…こりゃあ……」

 普通、ボスモンスターのポップは巨大なポリゴン片がまず生じ、それが徐々に削り取る様に外見を形作っていく。だが今回は、そうではない。細かいポリゴン…極小のドットが、無数に収束していく様子はどこかで…、と考えたところで、思い至った。記憶の中の夏の日の、プレイヤーの消滅するポリゴンの爆散エフェクトの、逆回しだ。

 …なるほどあの世の人が帰ってくる描写、ってわけだ。洒落てるじゃないか、製作者。

 そうして形作られていくのは、人間大の、女性の影。
 だがそれは、俺の記憶に眠る、待ち望んだ人のそれではない。

 当然だろう。それは恐らく、

 「このクエストの、隠しボス、だろ」

 呟いて、構えを取る。

 現れたのは、濃いピンクの髪に、黒い和服を纏った女。その手に抱えるのは、巨大な鎌。
 頭上に現れる、カーソル。驚いたことに、NPCの表示だ。

 だがその名称は、『The Heaven’s Guide』。黄泉への案内人。
 実に四十七層以来となる、ボスクラスであることを示す定冠詞に、俺の緊張感が一気に高まる。

 そんな俺の前で、女性がその碧眼で真っ直ぐに俺を見た。
 モンスターとは思えない、感情の見える瞳。


 ―――汝、死者に再び相見えんと欲するか


 透き通るような艶やかな声。
 そこに宿る感情は、嘲りか、憐れみか。それとも、俺への優しさか。

 答えは当然決まっている。俺は、会いたい。何を犠牲にしようとも。

 「望む。俺は、もう一度、ソラに会いたい」


 ―――ならば汝、案内人たる妾に、その力が黄泉の境界を超えるに足ることを示してみせよ


 告げられた言葉と同時に、俺の目の前に開かれた画面は、この世界に来て初めてみるものだった。
 デュエル申請……そのうちの一つ、『全損モード』。命をかけた、本当の決闘。

 俺は笑ってしまう。

 答えは決まってると言っているのに、随分とくどい。
 迷わず選ぶ、申請受諾。

 「……望むところだ」

 死者にもう一度会おうと言うのだ。容易いはずはない。命をかけるくらいは、当然だ。
 構える先で、美しい死神のカーソルが変化しアクティブなモンスターを示すそれへと変わっていく。

 冷静に考えれば、どう考えても俺にかなう相手では無かった。ここは六十六層で、このクエストの回始点は七十三層。出てくるMob達も七十レ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ