第三幕その三
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第三幕その三
「まさかとは思うけれど」
「奥様」
ここで使用人が彼女の側にやって来た。
「何かしら」
「ヴィオレッタ様が来られました」
「そう」
彼女はそれに頷いた。
「一人かしら」
「いえ」
だがこの使用人はこれには首を横に振った。
「ドゥフォール男爵と御一緒です」
「そう」
それを聞いて外面上は静かに頷いた。
「どうしたものかしら」
「?何か」
「あっ、何でもないわ」
呟きにはっとして尋ねてきた使用人に対してこう返した。
「有り難う。じゃあ休んでいていいわ」
「有り難うございます」
この使用人にチップを与えたうえで下がらせる。そしてヴィオレッタを迎えた。彼女は薄い水色の絹のドレスを身に纏いその胸には白い椿を飾っていた。そしてその隣に背の高い立派な外見の男を連れていた。彼がドゥフォール男爵である。
「マダム」
彼は部屋に入ると隣にいるヴィオレッタに声をかけてきた。
「はい」
「彼がいますよ」
(えっ)
その言葉にはっとなり部屋の中を見回す。するとカードのテーブルのところにアルフレードが座っているのが見えた。それを見て顔が一挙に蒼ざめる。
(そんな)
ヴィオレッタはこの時この宴に来てしまった自らの迂闊さを呪った。だがそれは顔には出さない。男爵はそんな彼女に声をかけてきた。
「御気をつけ下さい」
ヴィオレッタを気遣う言葉であった。
「彼には近付かないように。宜しいですね」
「はい」
ヴィオレッタは蒼い顔のままそれに頷いた。そしてフローラの前にまでやって来た。
「ようこそ」
「はい」
フローラに挨拶をする。
「まずはこちらに。色々とつもるお話がありまして」
「わかりました」
フローラはヴィオレッタを自分の下に寄せ二人で話をしようとした。
「どうやら私はお邪魔なようですな」
男爵はフローラがヴィオレッタを護っているのを見て安心した。そしてこう言った。
「それではこれで。席を外させて頂きます」
「有り難うございます」
フローラは彼のそんな気遣いが有り難かった。にこりと笑って彼に下がってもらった。そしてヴィオレッタと二人になった。
「あちらでお話になられませんか?」
フローラは奥の部屋を指差してこう声をかけてきた。
「ここでは何ですし」
ヴィオレッタを護る為であった。
「御気持ちは有り難いですが」
しかし彼女はこれを断ろうとした。
「今はここにいたいのです」
「そうですか」
それを聞いて残念そうな顔になった。その間にアルフレードはポーカーで勝ち続けていた。
「よし、ファイブカードだ」
「ちぇっ、負けだよ」
ガストーネは苦い顔をして自分のカードを放り出した。
「ワンペアが二つか。今日はついていないな」
「逆
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